劇場公開日 2006年12月1日

「二十一作目 真剣方向への路線変更がうまくいっている」007 カジノ・ロワイヤル Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0二十一作目 真剣方向への路線変更がうまくいっている

2013年3月6日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

興奮

総合:80点
ストーリー: 75
キャスト: 80
演出: 80
ビジュアル: 80
音楽: 70

 007は新作の度に商業的要素と娯楽要素が強くなって、そのぶん諜報部員という緊張感が少なくなって作品がちゃらくて軽くなりすぎている感じがしていた。だから本作を初めて見たときに、今までと雰囲気の違う真面目な路線に最初こそ戸惑ったが、かなり良い印象を持った記憶がある。そして今見直してみたがやはりなかなか良い。今までの007の中でも相当に良いのではないだろうか。
 娯楽作品らしい相変わらずの派手な活劇はあるものの、かつての軽さは陰をひそめ、真剣な様子で勝負に挑む。しかも脚本は『ミリオンダラーベイビー』『クラッシュ』のポール・ハギスが書いていて、それでせつなさや物悲しさが作品に溢れているのかもしれない。その後の恋愛も、従来のような一晩だけの関係という感じではないし、そのぶん悲しさもつきまとう。娯楽の要素を持ちつつも、路線変更と共に現代風に質感を上げてきているし、何よりも任務や勝負といった行動の一つ一つに緊張感や責任感がある。ちゃらさのなくなった新しい007、いい変化になっていると思う。

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Cape God