劇場公開日 1995年3月4日

「トゥペンス。トゥペンス。・・・沁みる映画。」メリー・ポピンズ コバヤシマルさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0トゥペンス。トゥペンス。・・・沁みる映画。

2024年4月27日
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鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

幸せ

内容は、1910年代のイギリスが舞台。いたずら好きの2人の家庭教師に来たメリーポピンズと銀行家の父ジョージバンクスともう1人の陰バートの4人が繰り広げる心温まる寓話的物語。
 印象的な台詞は、『お父様にも気付かない目立たないけど大切な事』メリーポピンズの鳩にニペンスが挿入される子守唄にも聞こえる場面。何とも優しくもあり寂しくもある哀愁を感じる場面でした。ウォルト・ディズニーが好きだった劇中歌だったそうで、当時の情景を思い描くと彼の贖罪と諦観と郷愁と納得にも似た感情の高ぶりを共に感じます。
 印象的な場面は、銀行家のジョージバンクスと影のバートが、ウォルトの内面を映し出していると思います。そして最後に、銀行家として失敗の謝罪をしに行く時の父ジョージの1人歩く姿を寂しく冷たく描かれている場面は、ウォルトの実際の淋しさが痛いほど伝わってくる場面で面白いと思いました。
 印象的な立場は、表の父ジョージと影のバートが煙突掃除から帰る時にばったり会う時に交わす会話。
父ジョージ『男は誰でも偉大な人物となり歴史に名を残したいと思うが、人生は上手くいかないものさ・・』
バート『子供に対しても忙しすぎて相手にせず、そっぽ向いてしまう。あんたは何時も仕事しか頭にない。子供時代はあっという間に幼い2人はたちまち大人になり親元を去る。そうなってからでは、愛を与えられない。』
この台詞にこの映画の深さが現れている様に感じた。仕事で、大衆を楽しませ自分も楽しんでいるはずなのに、一番身近にいる子供達を楽します事が出来ない。一緒にいる時間を大切に出来ない歯痒さと諦観がそのまま台詞に魂が込められた様で号泣します。
 この映画には語り尽くせない程の愛と思い入れが盛り込まれ完成まで30年の重みとウォルトディズニーの自叙伝にも感じられました。最後のメリーポピンズの言葉で希望を残したかった様に感じます。『完璧な人間は感情に溺れないの。』精一杯の強がりを子供の様に見せる事で溜飲を下げたかった、やらせなかったウォルトの全人生が浮かぶ様な作品でした。
 今回の資料は、創造の狂気ウォルト・ディズニーを読んで再度映画を鑑賞したものです。

コバヤシマル