劇場公開日 2017年3月25日

ミツバチのささやきのレビュー・感想・評価

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4.5深く静かな諦観

2010年2月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

難しい

ミツバチの巣を模したガラス窓は、
そこから出る事を禁じる牢獄の鉄格子にも見える。

内戦後のスペインの、さびれた村で「フランケンシュタイン」が巡回上映
される場面から始まる、絵画のように美しい映画だが、前半は正直に言うと
眠気を感じてしまった。
だが見終わった時、忘れる事のできない深く静かな諦観に浸されていた。

腑分けされた死体から繋ぎ合わせられた怪物の悲しみと、切り離されて
また寄せ集められたごとく暖かさを感じられない家族の虚しさが共鳴
している。
アナとイサベルの姉妹も、まるで一人の少女が内包する善と悪を分割して
生み出されたようにも思える。

アナの瞳は、引き込まれる漆黒の闇(ブラックホール)のようでもあり、
相対する物の姿を映す鏡のようでもあった。

幾つもの問いかけが、こたえのないまま、ささやき続けられる。

「あなたは来ない人を待っているの?」
「あなたは精霊を呼んでいるの?」
「あなたは人生を諦めているの?」

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ミア