劇場公開日 1989年7月29日

「キキの成長を通して青春を捉える」魔女の宅急便(1989) みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0キキの成長を通して青春を捉える

2024年3月26日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

泣ける

楽しい

興奮

またTV放映版を観てしまった。宮崎駿作品で一番好きな作品。何度観ても面白くて飽きることがない。それは本作がピュアな青春をピュアに描いているからである。

本作の主人公は13歳の魔女キキ。彼女は、昔からのしきたりに従い黒猫のジジを連れて魔女修行の旅に出る。そして、海沿いの美しい町に辿り着く。見知らぬ町に戸惑いながらもパン屋のオソノに気に入られ、住み込みで働くことになる。そして、ほうきで空を飛べる能力を活かして宅配の仕事を始め、ウルスラ、トンボなどとの交流を通して一歩一歩成長していく・・・。

序盤の魔女修行旅立ちのBGM・ルージュの伝言が心地よい。本作に最適な選曲。キキの旅立ちへの高揚感が伝わってくる。

中盤、キキはジジと会話できなくなる。魔法の力が弱ったからとキキは思うが、魔法の力が復活しても駄目だった。ジジの声は子供には聞こえて大人には聞こえない。キキが大人になった証である。

終盤は、スピード感、スリルがあり、手に汗握る展開。青春を凝縮している。デッキブラシを魔法のほうき代わりにしてキキは友の危機を救おうとする。しかし、デッキブラシはなかなかキキの言うことを聞かない。それでもキキは諦めず懸命にデッキブラシを操ろうとする。我々の青春時代、何もかも思い通りにならず悶々としながらも、諦めず、粘り強く、己の力を信じて頑張った姿を思い出す。キキも同じである。魔法の力は未熟だが、友を救いたいという強い思いで頑張る。諦めない。友は救われる。

最終盤で流れる『優しさに包まれて』も、作品の雰囲気に合致して清々しい気持になる。

キキの最後の台詞、『また落ち込むことがあるかもしれない、でもこの町が好き』に青春を感じる。落ち込むことがあるは、これからも自分より強いものに挑み、もっと成長したいという意思表示。この町が好きは、キキを成長させてくれる町=居場所を見つけたという喜び。

本作は、キキの成長を通して青春を外連味なく捉えた名作である。

みかずき
小町さんのコメント
2024年3月26日

ありがとうございます。
こちらこそよろしくお願いします。
目標達成できると良いですね。

小町