劇場公開日 1996年11月9日

「本編以外の思い込みと言う恐怖について」ファーゴ じぇんぬさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5本編以外の思い込みと言う恐怖について

2023年8月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

もったいない映画体験をしてしまった…
スマホの画面で見るようなストーリーではなかった…

是非評価を読まず、エンドロールまで気を抜かずにお楽しみください。
(英語が分かるとなおよし)

【あらすじ】
実話に基づくストーリー。
金欲しさに自分の妻を誘拐させ、義理の父から金をふんだくる作戦と経てた主人公。
しかしそう簡単にいくわけもなく…

Twitterで謎に紹介されていた「トレジャーハンター・クミコ」がどうしても気になって、
作品の元となった本作「ファーゴ」を鑑賞。

パケ写が「ディアトロフ・インシデント」っぽかったので、前情報入れずクライムサスペンスかな~?見始めたらまさかの実話。

誘拐事件を起こそうにも全く段取り良くいかず、余計な死者まで出してしまう。
ドラマ「メンタリスト」のジェーンだったら一発で見破られてるぐらいみんな嘘が下手w

クライムストーリーなのに計画が何一つうまくいかず、これこそ実際の誘拐事件の末路なんだろう…

しかし実話のクセにこれと言った劇的な殺人犯がいるわけでもなく、
途中で事件と関係ない警察官の同級生との会話があったり、
特出して面白い展開もなくつまんねえな、なんでこんなに評価されてるんだと思わざる負えないんだけど____

ネットで解説を調べたら・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

おもろいwwwwwwwww

ずるいな~このやり方は。

U-NEXTの吹き替えで見たけど、エンドロール最後の英文にはさすがに目がいかなかった。
ここまで見てこその作品なんだろうな~~

当時劇場でこの作品を見ることができた人は羨ましい。
サブスクでエンドロールを飛ばすことが当たり前になった現代への”アンチテーゼ”のようにも思えた。

=======ネタバレを含みます========

この作品は実話ではなく、完全な[フィクション]
作品冒頭でわざわざ”嘘”をつくわけないという先入観のせいで
一見つまらない展開もドラマチックに、意味ありげなシーンに思えてしまう。

”思い込み”の隅をついた革新的な作品ですね。

最近ではフェイクドキュメンタリー作品が流行っていますが、
90年代にホラージャンルではなく”クライムサスペンス”という題材に目を付けた監督は素晴らしい。

モキュメンタリーの代表的な「ノロイ」や「ほんとにあった!呪いのビデオ」は
現実との境目が曖昧である”霊体”や”呪い”をテーマにしていることから
信じる人もいれば、フィクションと気がついてしまう人も多い。

しかしスピリチュアル要素のないサスペンス作品で「実際に起こった事件を基に・・・・」と導入がはいると、途端にノンフィクションであると信じてしまう心理を逆手に取ったいい手法だなと思います。

一応この映画がフィクションであると暗示するヒントはちりばめられてるみたいですね…

ぱっと思いつくのだとマイク・ヤナギダの「妻が死んだ」発言が虚言癖から来る嘘だったぐらいだけど、斧を持ったサスペンダーおじさんのオブジェにも意味があるらしい。

あとは主人公の企てた誘拐事件自体が”自作自演”なのもそうでしょうか?

なんかエンドロールの注意書きが英語で私がスルーしちゃったように、「トレジャーハンター・クミコ」の主人公もそこだけスキップしちゃったんかや?

本編ストーリーの外で騙されるのは痛快で気持ちがいいですね…

二ノ前