劇場公開日 2021年4月30日

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「ワイセツではなく男女の切ない物語ですよね。」愛のコリーダ バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ワイセツではなく男女の切ない物語ですよね。

2022年1月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

4K修復版の上映を機についに問題作を鑑賞しました。当初「戦メリ」だけ鑑賞しようと思っていましたが、もう映画館で観られないかも?と思いまして・・・。上映当時は芸術か?猥褻か?の議論が巻き起こりましたが、当時では致し方ないでしょうね。全編とは言いませんがセックスシーン多いですしね。それに本番ですもんね。しかし、それで語りたかった描きたかったものがあったのだろうなぁと思います。

この映画は心も経験も大人になってからじゃないとサッパリわからないし、AVとの違いがわからないのかも知れません。ただのエロにしか見えないでしょうね。最近、ピンク映画と言うカテゴリの作品を二本見て痛感したのです。人間間の愛情、恋愛には性愛、セックスはつきもので、それを描いてこそ見える心情があるのではないか?と。気持ちは背中に回した手に、動きの激しさに、行為の濃さに、視線に垣間見えるのです。あぁ、心当たりあるなぁって思うのです。「あなたから気持ちが離れたわ」なんて言葉より、心無いセックスシーンのほうが、よっぽど伝わるんじゃないかなぁ?切なさがハンパないですよww心情などをセックスシーンを通して描いて何がいけないのか?と思っちゃうわけです。しかし、まだまだ修行中の僕にはわかってないことが多数と思いますがね。

阿部定のようにセックスワーカーが、たくさんの言葉(セックス)を知っているはずのが、それを通して知らなかった恋愛言葉を知るって・・・めちゃくちゃドラマチックじゃないですか?そして、その終わりもセックス。恋の深まりも終わりの気配もセックス。いいじゃないですか。そしてそのシーンで心情やら二人の関係の移ろいを描いていく大島監督・・・素晴らしいじゃないですか。
芸術かどうかはわからないのですが、立派な文芸作品だと思いますよ。

藤竜也、最高に色気がある役者さんだなぁ。なんとまぁ退廃的な雰囲気を出せるんだろう。関心しきり。大好きなシーンは雪降る中、行進する軍隊と道の端を歩く吉藏がすれ違うシーンがたまらなく好きです。時代と逆行するような、後ろめたいような吉藏が印象に残ります。

いやぁ、迫力の一作でした。
後日、定の事件後を知りましたがすごく興味深い一生を過ごしたんですね。事件後を描いた作品があれば観てみたいです。

バリカタ