劇場公開日 1976年11月20日

「サービス精神満点のサスペンス」バルカン超特急 Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5サービス精神満点のサスペンス

2021年4月6日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

ヒロインが目を覚ましたら、知り合い女性は席におらず、誰もそんな女は見ていないと言う。なかなかに怖いシチュエーション。自分でも自信がなくなってくるが、その中で列車窓ガラスに彼女が書いた文字が浮かび上がり、確信に至る。映画的で実に上手い。後の映画でも真似もされていた様な。

相棒となる男が、最初彼女の言うことを信じていなかったが、知り合いが飲んだと言う紅茶ブランドのパッケージが捨てられて車窓に張り付いて銘柄が判明して、信用する展開も、映画的。

車窓から外に出て他席に写ろうとするが対面から高速列車が来て、あわや危機一髪。そして、激しい銃撃戦、その中で白旗掲げて闘いから降りようとする弁護士はあっさりと敵に撃ち殺される。これって当時の英国政府への皮肉か。そして、最後ヒロインは婚約者から姿を隠れて、相棒となっていた男とのロマンスが成就。ラストにもう一つ、冴えないおばさんが、実はというオチまであり、面白さ満開でサービス精神満載のヒッチコック・サスペンス。

オープニングの空の上から地上に降りて来て、ホテルの中に入って来るカメラワークも印象的。あれは模型を撮ったのか。ところで、最初の方で歌い手はなぜ殺されたのか、その説明はもしかして忘れてる?

とは言え、全体として満足度十分な、至れり尽くせるの面白い英国活劇であった。

Kazu Ann