劇場公開日 1986年12月6日

「【トップガンの教官】」トップガン ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【トップガンの教官】

2021年11月23日
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この「トップガン」にトップガンの教官になるという伏線があったことを全く覚えていなかった。

それに、このマーヴェリックがバイクで疾走する場面があったからこそ、ジョン・ウー監督のMI2のバイク・アクションがあったんだと改めて考えたりした。

ミグとの戦闘などからも分かる通り、冷戦下で、この映画が制作された。

今もロシアは一定の脅威だが、今は、どちらかというと仮想敵は中国だろう。

少し興醒めかもしれないが、アメリカの軍事技術の発展・進化は日進月歩で、戦闘機シミュレーター・ベースでのドッグファイトでは、パイロットはAIにほぼ勝てなくなってきていると、先般、報道番組が伝えていた。

だから、この「トップガン」のテレビ放映後にあった最新作の制作を伝える特別映像で、プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーが、これが最後のスカイ・アクションになるだろうと言っていたのかもしれない。

元大阪府知事の橋下徹が、我が国のブルー・インパルスの東京オリンピックでの戦隊飛行を絶賛して、有事の際は、こうした訓練を受けた世界最高峰のパイロット達が日本を救うのだと言って愛国心煽ろうとしていたのだけれど、日進月歩の世界で、本当にバカなことを恥ずかしげもなく発言していたのだと近い将来思い出す日が来るのだろうと思う。

戦闘機AIの進化もそうだが、ミサイル防衛でのアメリカとイスラエルの軍需産業が開発したアイアンドームのとてつもない能力や、2025年には配備されるという戦闘機搭載型のミサイル迎撃レーザー・システムなども仮想戦争地図を塗り替えると思う。

アメリカが、近々グアムかサイパンで実験を行なうと言われているアイアンドームは、イスラエルでハマスの数百発のミサイルを半分の能力で、打ち損じを数発に抑える高い能力を発揮した。
アイアンドームは、もともとヒズボラの2万発弱のミサイル攻撃を想定したものだ。半分の能力とは、1発のミサイルに対して2発の迎撃ミサイルを使用することになっているのだが、1発だけ使用したということだ。

もし、韓国や台湾がこれを装備したら、本当に北朝鮮や中国は激怒もするだろうし、狼狽もするだろうと思う。

レーザー・システムもそうだ。
その威力は認識されていたが、長距離の迎撃を想定すると、レーザーは空気中の水分で拡散されたり、地球の重力で曲がったり、これら克服するするには莫大な電力を消費するという障害が考えられていた。しかし、今は、発想の転換で、蓄電能力の向上もあって、小型化して戦闘機に搭載すれば、一定の距離で効果を発揮できるというところまで来ているのだ。

実は、アホな政治家や、橋下徹のような政治家もどき、ネット右翼より、ブルー・インパルスのパイロット達の方が、もっともっと科学的で冷静な視座に立って未来を考えていると思う。

中国の威嚇行動に対して、台湾有事も国際政治学の世界では、様々なシミュレーションが実施されていて、例えば、100万人必要とされる長期的占領のための中国軍人は船で輸送せざるを得ず、台湾の上陸地の少なさも手伝って、半分の輸送船は台湾海峡で撃沈される蓋然性が高く、中国は100万人の駐留のために、100万人の軍人の命を犠牲に出来るのかなど議論されているはずだ。

だから、小競り合いがあるとしたら、中国本土から遠く離れ、中国の領有をどこも認めない南シナ海だと考えられているのだ。血気盛んで自制の効かない軍人は絶対にいるからだ。でも、四方を領有を主張する国で囲まれて小競り合いに終わるのだ。

そして、前述のアイアンドームが配備されたらとか、防衛もエスカレーションする。

バカな連中は、武器を持ったら、それだけで高揚感に浸るが、使用して、武器が使えなくなった場合のシミュレーションはしないのだ。

もし、ヒズボラが2万弱のミサイルを撃って、殆どが撃ち落とされたら、その後、そいつらはどうなるのだろうか。
一気に無力化した戦闘員ほど、役に立たず惨めなものはない。

だから、様々な知識を持って、こうした映画は、映画として楽しむところにとどめて、バカな連中は歪んだ愛国心を高揚させようとするかもしれないだろうなと、上から目線で見下しているのが、正しい在り方だと思う。

自衛隊員の方が、100倍楽しみ方を知っている気がする。

ブルー・インパルスに敬意を表して加点!

ワンコ