劇場公開日 1999年12月25日

「イーストウッド作品の分岐点」トゥルー・クライム うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5イーストウッド作品の分岐点

2023年1月21日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

クリント・イーストウッドの監督作品を制作年代順に並べていったときに、ここあたりから、ケレン味というか、派手なドンパチが削られて、よりリアル志向に傾いていったように思える。
彼の座組で仕事をする多くのスタッフを抱え、その人たちを食わせないといけないという現実的な問題に直面したときに、かならず作品性を優先する、という、今日では当たり前の製作アプローチが垣間見える。

それは、旧来のありがちなカースタントや、格闘シーンなどを必要としないのに、入れざるを得ないというジレンマと戦い、得た結論なのだろうと思う。

これ以前の彼の作品には、もちろん作品としての古臭さはともかくとして、どこかで見たことのあるアクションやカースタントを無理やりにでも挟み込んでいた印象があり、初めて見る驚きなどといったワクワク感は皆無だった。

ここから、余計な贅肉をそぎ落としていく彼の作風がより強まっていったのだろう

うそつきカモメ