劇場公開日 2007年9月15日

「木村佳乃の濡れ場はすごい」スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ 永賀だいす樹さんの映画レビュー(感想・評価)

1.5木村佳乃の濡れ場はすごい

2013年3月17日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

興奮

もともとは、黒澤明監督『用心棒』にインスパイアされたセルジオ・レオーネ監督『荒野の用心棒』から一回転して日本に戻ってきたという経緯を持つのが『ジャンゴ』で、三池崇史が監督。

なるほど、二つの反目するならず者集団に支配された村という舞台、そこに素性知れずの凄腕がやってくるというのは一緒。
その凄腕の風来坊が、なんか知らんけど二陣営を壊滅させるのも一緒。
だけど、その根底にあるものは独特のものが横たわっている。

まず源平というモチーフを持ってきたのが特色。
わかりやすく紅白で色をつけ、そこから転じてイングランドの薔薇戦争も題材として登場する。

また『用心棒』にせよ、『荒野の用心棒』にせよ、舞台の時代背景はある程度ハッキリしているのに対し、『ジャンゴ』には時代背景が不明。
一応は「源平の合戦から数百年」といっているものの、明らかにスカジャンに見える上着を着ていたり、寅壱にありそうな奇抜なインナーシャツ着ていたり。
いわゆる無国籍映画チックな世界観。そして全編英語。わかってないと面食らうことが山ほど。

佐藤浩市、伊勢谷友介、香川照之、石橋貴明、桃井かおりとアクの強い役者がそろってしまい、それぞれがキャラ立ちしようとするせいで映画のスポットが薄く広がっている印象。
「弁慶」「(那須野)与一」など映画の中心シナリオからは省いたほうがよくね?とか思ってしまうような役者陣に、どうも視線が定まらない。

『用心棒』だと素浪人が二つの陣営を行き来してかく乱するという面白みがあったけれど、ジャンゴには各陣営の掘り下げまでやっただけでなく、村人までスクリーンに出張るから参っちゃう。小説ならともかく、映画という短い尺でそれやっちゃうとなーって気がしてしまう。
香川照之演じる保安官、後半に入ると統合失調症気味のヘンな演技を見せるのだけど、「お前のソレって映画全体にどんなシゴトしてるの?」って感じ。うーん。

こういういろんな役者が全体の映画を作っているという意味では、なるほど「スキヤキだな」とは思うものの、観終わった後の後腐れなさがすごい。バラバラのピースは残ってるけど、きちんとハマッた絵はどんなだっけ?という感じ。とっても後味悪いパズル。
とりあえずメインになるべき風来の凄腕ガンマン・伊藤英明が薄すぎる。「かあちゃん、もっと醤油足してよ~」ってなくらい。画面では凄腕っぷりを発揮するのだけど、なーんかイマイチ。
個人的には「木村佳乃の濡れ場すげー」って思ったくらい。

ここはアレですか。
茶なら二番煎じというところを、『用心棒』から数えて三番煎じ。さらに先行くダシール・ハメットによるハードボイルド小説『血の収穫』からすれば四番煎じの本作。
いくらなんでも出涸らしが過ぎるということだったのかも。

では評価。

キャスティング:2(アクの強い役者をそろえすぎ)
ストーリー:3(役者に引っ張られて本筋が弱い)
映像:4(紅白に色分けしたのは見やすくていい)
味のハーモニー:3(どれがメインの食材なんだか)
歴史:2(『用心棒』という題材にしろ、源平や薔薇戦争というキーワードにしろ、とっても扱いが軽い)

というわけで総合評価は50満点中14点。

ポスターやジャケットだけ見て全体に満足できる人はオススメ。
公式サイト、Blu-rayジャケットなんかは、とっても面白そうな映画に見えるのだけどなぁ。

永賀だいす樹