劇場公開日 2008年1月19日

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「敵は人間だ!」28週後... kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0敵は人間だ!

2021年3月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 『28日後...』の続編らしいのですが、登場人物は違うし、設定だけもらった後日談といったところ。新種ウイルスが蔓延してゾンビ(感染者)がイギリスを壊滅状態にした半年後くらい、みんな餓死したようなんです。ここで3年間一人ぼっちという『アイ・アム・レジェンド』の違和感をすっきりさせてくれました。やがて海外にいたイギリス国民が帰国して、イギリスはアメリカ主導のNATO軍によって監視されることに・・・なかなかリアルな設定だ。

 最初の主人公はドン(ロバート・カーライル)。普通のドラマのような導入部分があって、隠れ家にいる一行は直後に襲われる。妻アリス(キャサリン・マコーマック)を助けようとしたけれど間に合わず、別れ際の彼女の悲痛な表情が強烈に焼き付いてしまう。序盤はハンディカメラや細かな切り返し編集の効果もあって、めまいを起こしそうになるかもしれません。

 スペインの避難所生活をしていたドンの娘と息子が帰国し、ドンに母アリスの安否を問い詰めるところからキャリアとなったアリスを発見・隔離する辺りまでの心理描写が絶妙でした。子供たちの「助けなかったの?」という言葉と忌まわしい記憶が交錯するドン。しかし、親子の確執が見ものなのかと妙な気分になるのはほんのわずか。より凶暴になった感染者があっという間に増殖する・・・。あぁ、子供たち、君たちが危険区域へ行かなければこれほどの惨事にはならなかっただろうに。

 本当に怖いのは人間だ。このホラー映画の隠されたテーマを見事に活かし(というより、前面に出すぎている)、感染者も非感染者も見境なく攻撃する軍隊。銃撃だけでは飽き足らず、ナパーム弾でロンドンの街を焼き尽くすのです。さらに攻撃は毒ガス(目に見えるから、親切設計なのか?)によって生存感染者を一掃しようとする徹底ぶり。安易に核を使わなかったところが逆に恐怖を与えてくれるのです。ゾンビもそれほど活躍してなかったけど、軍隊はいったいどれだけの非感染者を殺したんだろ・・・

 軍の中にも人間性を失わないまともな人間がいたことに安堵感をおぼえるのですが、クリス・タッカー似のヘリパイロット(ハロルド・ペリノー)がちょっとうざい。また、彼がヘリのプロペラで攻撃するシーンが凄まじいのです。肉が飛び散り、阿鼻叫喚の地獄絵図・・・とはいってもゾンビなのですが・・・。

【2008年1月映画館にて】

kossy