「人生で最も幸福な３時間」マグノリア　Natsukiさんの映画レビュー（感想・評価）

ｱﾒﾘｶ西海岸
郊外の住宅街
直接は関係の無い数名の登場人物
人それぞれの24時間
大なり小なりの人生の危機
その暗雲が通り過ぎた時

『平等に訪れるｸﾗｲﾏｯｸｽ』

PTｱﾝﾀﾞｰｿﾝお気に入りの
監督作品には常連のｸｾのある
良い役者が勢ぞろいした本作

そんな中でも特に素晴らしいのは
一般的な感覚では嫌悪感を覚えそうな
屈折したSEX教団の教祖役を
迫真の役者魂で演じきったﾄﾑｸﾙｰｽﾞ

彼はPTｱﾝﾀﾞｰｿﾝ監督の前作『ﾌﾞｷﾞｰﾅｲﾂ』に惚れ込み
出演を熱望し　役を勝ち取った

この作品の中で唯一の世界的ﾊﾘｳｯﾄﾞｽﾀｰの彼は
ｲﾝﾃﾞｨｰｽﾞ作品のような地味な面々の出演者の中で
全く浮くことなく抑えた演技で見事に溶け込んでいる

しかも誰もが避けるであろう猥褻なｾﾘﾌと
振る舞いや暴言が連発するこの『汚れ役』で

そして僕は人生の壁にﾌﾞﾁ当った時に
この作品を必ず観ているが
必ず《最後の３秒》のｼｰﾝで号泣する

これから先の人生も
辛いときや悲しいとき

《最後の３秒》で
また何度も生き返らせてもらうでしょう