ストレイト・ストーリーのレビュー・感想・評価
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老人終末旅行の様なオフ・ビートな徘徊。
「いつから旅しているの?」
「一生ほとんど旅ばかりだ」
「あれに乗って俺に会いに来たのか?」
「そうだよ」
二人が少女終末旅行のチトとユーリーに見えた。
トラクターがケッテンクラート♥
悪者が一人も登場しないお話。
この映画が上演された一年と半年後にあの事件が起こる。
このトラクターはアメリカ経済に対するアイロニーかもしれない。
観てよかった
優しくてゆったりしたBGM、胸をギュッとされつづける切なく暖かいロードムービーだった。
主人公も他もみな魅力的な人物しか出てこなくて嬉しかった。
娘のローズ、優しくて強い女性で愛らしかった。
奇妙なだけじゃなくて切なさ優しさ温かさを感じるのがデビッドリンチの魅力なのだなぁと、改めて気付かされました。
歳をとって辛いのは若い頃の記憶があるからだ
最初から最後まで、しみじみとした物語です。
その、しみじみの理由を知ることのできる映画です。
もう長くは生きていられないであろう老人が、数年前に仲違いした兄に会う決心をしたところから映画は始まる。小さなトラクターで行く道。さまざまな人との出会い。人生を考えさせられる。その時間が映画の中にもこちらにもある。その流れる時間がいい。「なんていい映画なんだ」と観終わっていつも思う。
誰でも老人になる。
若い記憶を持って。
人生をしみじみと思う。
心温まるロードムービー
温かみのあるエドワード・ホッパーの絵のような美しい映像、ゆったりとしながら全く飽きないストーリー展開。
毛利元就の三本の矢のような小話。
リンチ的な要素も少ないが、感じられる。
登場人物はトラウマや悩みを各々抱えていて、それが物語に深みを与えている。
トラウマとか心の傷を忘れようとするのではなく、ただそれらと向き合っていくほかない。
そんなメッセージをこの映画から受け取った。
【”10年疎遠だった病に倒れた兄を訪ねて時速8キロのトラクターにて、500キロを歩む。”デヴィッド・リンチ監督の盟友アンジェロ・パダラメンティのリリカルな音楽もこのロードムービーの趣を高めています。】
ー アイオワ州の小さな町で暮らしている73歳の老人、アルヴィン・ストレイト。
ある雷雨の夜、10年仲違いしていた兄・ライル・ストレイトが倒れたという知らせが届く。
彼は兄に会うため、時速わずか8kmの芝刈り機に乗り、500キロ離れたウィスコンシン州、マウント・ザイオンに向かう旅に出る。芝刈り機に乗って・・。-
◆感想 <Caution! 内容に触れています。>
■私は、ロードムービーが大好きである。
- 今作でもアルヴィン・ストレイトが、兄の住む家に向かってトラクターを走らせている時に出会う様々な人々。多くは善性溢れた人間である。ー
・壊れたトラクターを修理する人々(とにかく、オンボロだから頻繁に壊れる。)の優しき対応。
・仕事に急いでいる女性の車が鹿にぶつかって、金切り声を上げている際にも、アルヴィン・ストレイトは”やれやれ、鹿を殺してしまったのだぞ・・”と言う表情で女性を見ている。そして、彼は鹿の角をトラクターに連結した荷台に飾る。
・妊娠五か月の若き女性との出会い。最初は彼女はトラクターの余りの歩みの遅さに
ヒッチハイクの親指を立てもしないが、夜アルヴィン・ストレイトの野宿に誘われ、ソーセージを振舞われる。そして、アルヴィンは焚火の前で、彼女に言う。
”成程、君の両親は怒るだろうね。けれども、君や赤ちゃんを失っても良いと思う程には怒らないよ・・。”そして、日本で言う”毛利家の三本の矢”と同じ話を彼女にするのである。
・車を飛ばせば、2時間程、いや3時間かな・・、の距離をトラクターで進むアルヴィン・ストレイト。途中、心配していた娘ローズに電話を掛けるシーンも彼の紳士的な態度が見て取れる。借りた電話に対し、キチンとお金を置いて去るのである。
そして、”乗せて行こうか・・”と言う親切な申し出にもやんわりと、”有難う、でも自分で行くよ・・”と答える。
私は、きっとアルヴィン・ストレイトは10年以上も前に些細な事で仲違いした兄に行く心構えをしているんだろうな・・、と思ったシーンである。
・第二次世界大戦で、心の傷を負った老人と、バーで交わす会話も滋味深い。
・そして、漸く着いた兄ライルの質素な家。”ライル!”と声を掛けると、待ちわびていたように、老いたライルが家の中から出てくる。
その表情には、蟠りは何もない・・。
<デヴィッド・リンチ監督作品はどれも好きだが、実話ベースのこのロード・ムービーも忘れ難い。私の好きなロードムービーの100本強の中の一作である。>
好きなお爺様ランキング第2位(2000年3月当者調べ。)
劇場公開時鑑賞。
最初内容を知った時、「リンチ監督、何か変な物でも食べた?」とか「リンチ殿、ご乱心!」とか思ったです、すいませんすいません。
時速5マイルのロードムービーということで、アイオワとウィスコンシンは隣接してるし、飛行機なら1時間くらいでしょう。トラクターで何日もかけてなんて、バカじゃないのと言われても仕方がないかもしれない。まさか道中出会う人とのなんてことのない会話にこんなに心動かされるなんて。リチャード・ファーンズワースの魅力に尽きる。
次の出演作もぜひ観たいと思っていたのに…。この年自死してしまったのが何とも残念。
時速8Kmの芝刈り機
旅に出始めたのも束の間、直ぐに戻って来る羽目になる滑稽な場面に癒される。
道中出会う人々に助けられながら、無事に辿り着けるのか?お爺ちゃんを見守りながらの鑑賞。
ハリー・ディーンが、待ってるゾッ!シシー・スペイセクも心配だぁ。
デヴィッド・リンチが「エレファント・マン」以来に史実を基にした映画を「ロスト・ハイウェイ」と「マルホランド・ドライブ」の間に挟んで。
感動させるよりも淡々とシンプルに描いたD・リンチらしさ?が見え隠れしているような、まぁ普通の映画を普通に撮った感は否めない。
1つの良い映画だと言えよう
素朴で退屈すぎるはずであるストーリーを味わいなる演出で織り込んで比較的飽きない映画に仕上げている。カメラワークは基本的にオーソドックス。意図的に少しピンボケに取りアップの時だけシャープにすることによってその効果を高めている。田園風景の空撮と弦楽器の音がとても見事にマッチしていた。
人々の温かさが心地よい
タイトルが地味なせいか、今まで観ないでスルーしていました。
秀作だと思います。
イン・トゥ・ザ・ワイルド、ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅 など、ロード・ムービーには惹かれる作品が多いのですが、この作品はまた何度でも観たいです。
ずっと続くとうもろこし畑がいつまでも心に残っています。
ほんまにそれで行くの⁇
時速8キロのトレーラーで560キロ移動って…おじいちゃん心配だよ。マジか。大丈夫なのか。
無謀ながらもたどり着けるっていう自信に満ちた姿、これで会いに行くと決めたらこれで行く!っておじいちゃんの頑固な気持ちが共感できる自分がいて、少しクスクス笑えるスタートでした。
ゆったりと流れる展開と思いきや一気に数週間たってる展開で、もっと見たかったな思う作品でした。
優しさと強さ。そして顔。
大好きです。
おじいの顔と田舎の風景。
時速8kmトラクターロードムービー。
旅の途中で出会う、問題を抱えた人々。
しかも、これ実話がもとなんですもんね。
この映画を観るといつも、身の丈を知るって言葉が浮かびます。
ちゃんとデヒット・リンチらしい「ちょっと変テコリンなシーン」もちょいちょい出てきて嬉しいです。
人の温かさ
とても人間味にあふれ、ゆったりと温かい気持ちいにさせてくれる作品。
一人の老人がトラクターでのんびり旅をする、その間に生まれる人との交わりはとても優しく、人っていいな~という気持ちにさせてくれる。
見終わって、「えっ、D.リンチだったの?」と驚かされるくらい、D.リンチとしては異質な内容でしたが、とても素晴らしい映画でした。
素晴らしプラス・マイナス・ゼロの旅路
ある日、アメリカの田舎町に住んでいた老人の家に、長年に渡り仲違いしていた兄が病で倒れたという連絡が入る。
仲直りする最後の機会だと悟った彼は、オンボロトラクターに乗り、遥か彼方に在る兄の家を目指して、6週間にも渡る遠い遠い旅に出る。
ただそれだけの話である。
山場らしい盛り上がりも無ければ、怒涛の感動を呼び起こすクライマックスも無い。
のほほ〜〜んとトボケたお爺さんが、広い大地と遥かな大空の狭間で、ただずっとトラクターに乗って、兄の家に向かう過程を実にノ〜〜ンビリ撮らえている。
でも、なぜか泣けるんだ…。
何も無いこと、
プラス・マイナス・ゼロで生き続けることって、本当は物凄く意味があるのかもしれない。
スクリーンの中に、魅力的な人間が1人でも居てくれたら、それで充分なんだ。
主役のお爺さんが、とてつもなくイイんだ。
自分自身が持っている“何か”をさり気なくオープンに醸し出している。
優しさや素朴さみたいな簡単な言葉では言い表せない“何か”を全て。
学生時代に観た時もジ〜〜ンとしたけど、介護福祉士と成った今やと、なおさら彼の表情が胸に来る。
今作が完成した数ヶ月後、惜しくもお爺さんはこの世を去った。
鬼才デビット・リンチは、彼に
「この役のために生まれてきた役者」
という言葉を捧げた。
お爺さんは、どんな想いで最後の瞬きをしたのだろう。
では、最後に短歌を一首
『今はただ アイツの顔が 見てえんだ 長い旅路を ゆっくり往くさ』
by全竜
ただただ美しいロードムービー、自分にはまだ早いかも。
デビッドリンチによるアメリカの風景も人々も美しい映画。古き良きアメリカといった感じ。
もっと年齢を重ねてから見たら、感銘を受ける事も多い映画かもしれないが、今の自分にはまだ美しい映画でしかない気がした。
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