劇場公開日 2000年5月27日

「【巨大化学企業が垂れ流していた6価クロムの実態を暴いた、”ど根性女性”の生き様と正義感に圧倒される作品。今作はドキュメンタリータッチであるが、見事なエンタメ作品でもある。】」エリン・ブロコビッチ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【巨大化学企業が垂れ流していた6価クロムの実態を暴いた、”ど根性女性”の生き様と正義感に圧倒される作品。今作はドキュメンタリータッチであるが、見事なエンタメ作品でもある。】

2022年8月12日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、VOD

悲しい

知的

幸せ

■3人の子供を抱えて無職のシングルマザー、エリン・ブロコビッチ(ジュリア・ロバーツ)は、交通事故に遭いながらも裁判に負けたことから、腹いせに担当弁護士エドワードの事務所を訪れて強引に職を得る。
 ある日、書類の整理中に巨大化学企業PR&Eによる環境汚染の実態を知った彼女は、勝ち目のない戦いに挑んで行く。

◆感想

・ご存じの通り実話ベースの物語である。
だが、当時このテーマを映画化することは様々な軋轢があり、難しかった。
 その壁を打ち砕いたのが、スティーブン・ソダーバーグである。
 今作後の公害の実態を描いた数々の嚆矢的作品でもあり、記念碑的作品でもある。

・二度の離婚をし,、三児を育てるエリン・ブロコビッチを演じたジュリア・ロバーツの随所で観られる啖呵を切る姿が心地よい。
ー 彼女は、悪と善をキチンと理解している。忖度も一切しない。-

・エリン・ブロコビッチが、窮地に陥った際に現れたハーレイに乗る自由人の隣人、ジョージ(アーロン・エッカート)の彼女に対するスタンスも良い。
ー 彼が、今作後に大ブレイクした理由が良く分かる。-

・又、エリン・ブロコビッチが、強引に勝手に就職した弁護士エドワード(アルバート・フィニイ)の驚きながらも彼女を受け入れる寛容な姿も良い。

・エリン・ブロコビッチが、足で巨大化学企業PR&Eの汚染を聞いて回るシーンも、後半に効いてくる。
 PR&Eの弁護士が汗をかかずに提示する資料との違いの明白さが明らかになるシーンの爽快さよ。

<20年振りに鑑賞したが、真実を追求する人間の姿は尊崇である。
 巨大化学企業PR&Eからの賠償金の額をエリン・ブロコビッチから告げられた女性の表情は忘れ難い。
 が、今作の価値は賠償金の額ではなく、それまで大企業の言いなりになっていた市井の人達の声が、世間に伝わった事実が、貴重なのである。
 個人的な感想であるが、初見時には凄い女性が居たモノだと思ったが、不惑になり社会の表裏を知る様になってから今作を鑑賞すると、この作品が齎して影響は多大なるモノであると感じた作品でもある。>

NOBU