劇場公開日 2006年9月16日

「千葉真一さんは中盤、終盤、クライマックスと3回登場します」ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0千葉真一さんは中盤、終盤、クライマックスと3回登場します

2021年8月20日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

2021年8月20日
千葉真一さんの訃報を聞きました
コロナに感染され、昨日お亡くなりになられたとのことです
慎んでご冥福をお祈り申し上げます
沢山の素晴らしい映画をありがとうございました

追悼に本作を観ることにしました
千葉真一さんが67歳の時の出演作品です

ワイルドスピードシリーズは初めて見ます
本作はタイトルに有るように第3作
2006年の公開、舞台は東京
キル・ビルは2003年の公開
恐らくその影響を受けて、日本車が活躍する映画ならいっそ東京に乗り込もうじゃねえかとなったに違いないと思います
そうと決まれば千葉真一さんにも出演してもらわない訳にはいかないでしょう

千葉真一さんは、主人公と対立する半グレグループの頭をしている甥っ子から、上納金を吸い上げるヤクザの親分として中盤、終盤、クライマックスと3回登場します
どの登場シーンでもスーツ姿のダンディーぶり
アクションこそ有りませんか、辺りを払う恐ろしい迫力、格好良さはさすが!と唸るしか有りません

ワイルドスピードはカースタントがやはりメインのシリーズです
本作は日本が舞台らしくドリフト対決となります

中盤の首都高や都内の公道を爆走するカーアクションはやはり燃えます
見たことがある、走った事のある、都内の通りや夜の首都高を猛スピードで暴走するのはやはりアドレナリンが吹き出ます

渋谷のスクランブル交差点の人波に猛スピードで突入し、ドリフトしながら曲がっていくシーンは語り草のシーンでしょう
もちろん野外セットやCGや海外ロケを組み合わせたものです
日本で本当にこんな撮影は許される訳が有りません
しかし、本当に渋谷で撮影したかのように錯覚するに十分なクォリティーがあります

ガイジンという言葉が盛んに使われます
その意味について深く考えさせるほどに
韓国系や中国系の俳優が日本人の主要人物として登場し、主人公とそのワードについて会話をするシーンもあり、その微妙で際どい部分をわざとついてくる脚本が巧みです
単に車だけのお馬鹿映画で止まらないのです

本作に先立つこと17年前、1989年の映画ブラックレインを思わせるような、エキゾチックな目線を感じますが、それは致し方ないこと
彼らにはそのように見えているし、その印象を観客に伝えたいのは当然のことです
日本人の海外ロケでも同じことをしているはずなのです
むしろサンフランシスコの盛り場ソーマあたりの不良連中の遊び場のような渋谷の半グレや若者たちの遊び場の姿を多少は脚色しつつも取り上げているのは日本も米国とそう変わらないのが現代の世界なのだというメッセージを発しており好感を持ちました

本作から既に15年経ちました
そろそろ東京を舞台にした本作のようなハリウッド映画を観たいものです

本当なら今年のオリンピックで数十万人ものガイジン達が日本に来ていたはず
彼らの目には当時とはまた違う東京が、日本人と違う感性で見えたはずなのです

オリンピックで訪れた各国の選手達や記者達がSNSに上げた写真はそれです
思いもよらない目線の写真
まるで日本とはおもえないような未来めいた写真が多かったように思いました

映画業界の関係者の皆様
コロナ禍で大変かと思います
しかしぜひそのような映画が、コロナ禍の先で
撮影されるようにしていただけるようにお願い申し上げたいのです
そしてその主要登場人物の日本人はもちろん日本人の俳優が出演できるよう、様々な問題のクリアをお願い致します

それが千葉真一さんが一番喜ぶ供養だと思います

あき240