劇場公開日 2007年1月20日

「もっと求む法廷系ドラマ」それでもボクはやってない kalichan88さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0もっと求む法廷系ドラマ

2015年7月17日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

知的

難しい

満員電車で急に痴漢の容疑をかけられ、無罪の言い分を貫き続け公判へ持ち込み、最後に判決が出るまでの話。逮捕の際の事情聴取のやり方や法廷でのやりとり、立証判定の仕組みなどを細かく描く。

私は法廷ドラマが大好きで、米国のTVドラマや映画はかなり観ている方だ。なぜなら、裁判というのは哲学的要素を多く含み、人間・社会としての成り方、正義とは何か、公平とは何か、そういうものを深く問う分野だからだ。なのでこの日本のこの映画を観て、驚いた。本当にこんな事が有り得るのか?日本の裁判所は何をやっているのだ?私が観るものはドラマであってフィクションなのは承知だが、多少真実を元に書かれているわけで、もしこれが真実を語るものなら大問題だと思う。

間違えてはならないのは、だから痴漢を摘発する時には気をつけようとか、痴漢に間違えられては大変だとか、その程度の話ではないということ。弁護士が正しい、検事が間違ってるとかそういう話でも決してない。あるのは、劇中でも少し出てきたが「公平とは何か」「『無罪』とは何か」だ。「疑わしきは無罪」だ。アメリカドラマではどこまでも黒い灰色でも、無罪になる悪人の話はよくある。それが人間性を守るが為のシステムなのだ。それでは被害者が浮かばれない、という意見も最もだが、そこで更に突っ込んで考えなければならないもの、人間は常に不安定であるものだとか、真理とは何か、そして裁くという責任の重さを考慮しなくてはならない。

もっともっと日本の裁判もののドラマを観たいし、増えればいいのにと思う。

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kalichan88