劇場公開日 2005年5月28日

「家族の絆。愛するという事に闘いを重ねた物語」ミリオンダラー・ベイビー コバヤシマルさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0家族の絆。愛するという事に闘いを重ねた物語

2023年3月27日
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鑑賞方法:VOD

興奮

知的

難しい

内容は、アメリカ🇺🇸にある赤字続きの下町ボクシングジム🥊に、二人の老トレーナーがいた。そこに遅咲きの女性がボクサー志望で入所する事から物語が始まる。彼女・ダンと老人トレーナー・フランキーのボクシングサクセスロードに心温まり悲しみに包まれる作品。印象的な言葉は『でも生かす事は殺す事だ。どうすればいい?』ダンが脊椎損傷の怪我をし自身の頑固さから闘い続ける結果視野狭窄に陥る時に、主人公フランキーが牧師に葛藤を相談する台詞を愛するという事の一端を見た様な気持ちを抱きました。惜しみなく無条件に与える事の限界を伝えたいとの気持ちが伝わりました。印象的な状況は、隻眼老トレーナー・スクラップの存在感とオフ台詞の語りの重さが凄く耳に残りました。ボクシングの魔力🥊限界を超えた苦痛に耐え続け闘い続ける。自分だけが見る夢に全てを捧げる力を存在から感じさせられた役作りは圧巻です。印象的な場面は、やはり"アイラのロードサイド食堂"での一場面。カウンターでレモンパイを前に二人の心が通い合うシーンは美しくカタルシスの解放を感じました。最後の病室のキスシーンと同じ様な嬉しくも切ない気持ちにさせられました。時折流れるクラッシックギターのBGMも非常によく全体を纏めていた様に感じます。最後に全体を包括的に表してある台詞も良かった。『ボクサーは頑固者だトレーナーに服従しない。間違った事を信じ込んでいて、それが自滅を招く事も分かっていながら最後まで信じ続けるのが真のボクサーだ』。結果ダンの娘との確執は不明なままで消化不良ですが、疑似家族としての心の絆を求め合う物語は"モ・クシュラ"の言葉に集約されて諦観と開放感と静寂に包まれて気分良く楽しめました。

コバヤシマル