劇場公開日 2004年3月27日

「【1980年代の韓国の片田舎で起きた連続殺人事件解決に取り組む”杜撰な”刑事達の捜査を描く苦いテイストの作品。】」殺人の追憶 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【1980年代の韓国の片田舎で起きた連続殺人事件解決に取り組む”杜撰な”刑事達の捜査を描く苦いテイストの作品。】

2020年11月23日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

知的

難しい

ー1986年10月 韓国の片田舎、テリョン村で、連続女性殺人事件が起こる。被害者の女性”ヒョンスク”は田圃の脇の”側溝”で発見される・・。-

 ・地元警察の”パク刑事”(ソン・ガンホ)は恋人ソリュンからの情報で、知的障がい者の焼き肉屋の息子グァンホを犯人と決めつけ、手荒い取り調べをしていく。
 ・だが、ソウルから来た”ソ刑事”は、その方法に疑問を持ち、真犯人は別にいると考えて・・。

 ◆序盤は、コミカル要素も含ませながら、当時の韓国の田舎の粗い捜査方法を描く。
 だが、雨の降る夜、新たな犠牲者が出てしまい・・。
  雨の夜になると、”憂鬱な手紙”のリクエストがラジオ局に”テリョン村の寂しき男”から届く。そして、そのたびに起こる女性殺人事件。
  韓国報道機関からは、杜撰で、拷問による”パク刑事”や、直ぐに被疑者に対して飛び蹴りをしてしまう”ヨング刑事”達への捜査方法への批判が高まる。

 ◆そんな中、”パク・ヒョングン”という村の中にある工場の事務員 ー穏やかな表情。柔らかい手を持つ ー への疑惑が急速に持ち上がり・・。”ソ刑事”は彼こそが、真犯人であると思い、追及していくが・・。

 ・DNA鑑定が自国内で出来ず、米国に依頼せざるを得ない状況や、”パク刑事”達の操作方法を批判していた”ソ刑事”も、”パク・ヒョングン”が真犯人に違いない・・、と”決めつけ”拳銃の銃口を付きつけ、そして発砲しながら、追い込んで行く姿・・。

 ◆時は流れ、2003年。
 パクは刑事を辞め、サラリーマンとして生活をしている。ソリュンとの間に子供が二人いる、安定した生活をしている。
 が、ある日、”あの”側溝”の脇を通りかかり、車を止め、中を覗き込む。そこに通りかかった女の子からの”この間も、男の人が同じ事をしていたよ・・”と言う言葉。
 ”どんな顔だった!”と聞くパクに対する答えは ”普通の顔をしていたよ・・”
 - 絶句する、パクの表情・・。-

<多くの被害者のみならず、韓国の田舎の刑事達の人生を変えた、連続殺人事件の犯人は、杜撰な捜査の結果見つからず、
 ”20数年後も”普通”に韓国のどこかで暮らしている・・”
 と言うラストが、この映画にモチーフになった事件の当時の捜査陣たち及び韓国社会への強烈な皮肉と批判を現した作品。
 現代日本でも、過去の杜撰な捜査による犯人にさせられた人々が次々に無罪判決を勝ち取っている事実からも、決して隣国だけではない問題である、という認識を新たにした作品でもある。>

NOBU
NOBUさんのコメント
2020年12月8日

M.I様
 レビューを挙げられていないので。当方のレビューにて。(届くのかな?)
 他のレビュアーの方から教えて頂いたのですが、真犯人は劇中には出ていないようです。(不明確です)
 映画の構成上を鑑みると、当時の捜査の杜撰さを多少滑稽、且つシニカルに描いた今作にとっては・・、(個人的な意見ですが)良かったのではと。
 では。

NOBU
M.Iさんのコメント
2020年12月8日

真犯人が判明したとのことだが、映画の中に出てきた人物だったのでしょうか?

M.I
こころさんのコメント
2020年11月27日

NOBUさん
コメントへの返信の返信有難うございます。
この作品を観た後、劇場のロビーに掲示してあったソン・ガンホさんのインタビュー記事を読んだのですが、実際に起きた事件の作品に出演するという事で、色々と悩まれたそうで、その真摯さが十分に伝わってくるような演技だったと感心した事を思い出しました。
情の深い役者さんは素敵ですよね。

こころ
こころさんのコメント
2020年11月25日

NOBUさん
お仕事お疲れ様でした。
コメントへの返信有難うございます。
パク刑事 😅 生活感溢れた刑事役でしたね 。
私の方こそ、ソン・ガンホさんの出演作をトータルで4本しか観ていません ☺️
人情派で生活感溢れたソン・ガンホさんが観たいな 👀

こころ
こころさんのコメント
2020年11月23日

NOBUさん
ソン・ガンホさん出演作の鑑賞3本目のこの作品で、次回作が気になる俳優さん確定となりました ☺️
情感漂う、魅力の有る俳優さんですよね。

こころ
atsushiさんのコメント
2020年11月23日

本作のモデルになった事件の犯人がついに判明したようですね。
残念ながら時効を迎えていましたが。

atsushi