劇場公開日 2001年1月27日

「I miss you が《寂しい》なのだと 字幕で初めて知った日」リトル・ダンサー きりんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0I miss you が《寂しい》なのだと 字幕で初めて知った日

2023年4月14日
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鑑賞方法:DVD/BD

「スト破り」してでも息子の夢を応援してやろうと思った強面で不器用な父親。
こんな愛があるだろうか・・
そして弟ビリーの出発を父子で見送るときの、バス停でのお兄さんの小さな叫び
I miss you . . .

父と兄はロンドンを目指す。
最後のステージで、苦労してきたこれまでのすべてが報われるのだ。
白髪になった年老いた父親と、炭鉱場で、そして街なかで、父親と共に裏切り者と呼ばれながら、弟ビリーの夢と偏屈な父親を支え続けたお兄さんと。

scab 《スト破り野郎、病原菌、疥癬》。
その苦渋と、割り切れなさに、監督は光を当ててくれた。

ロンドンに上京し、みんなで息子の晴れ舞台を観る。
幕が開き、
目を大きく見開いて、立派に成長した雄白鳥を驚きの目で見るシーン。
アダム・クーパーの、どこまでも飛ぶ跳躍!
(いつも下手くそなのにピョンピョン跳ね回っていた) まぎれもなくあれは我が子ビリーなのだ。

一瞬しか見せないあのラストは、稀代の名シーンだ。
もし暗い映画館で本作を鑑賞していたならば、スクリーンの明かりに照らされて我々観客の横顔もあれと同じになっていたに違いない。
身を乗り出して
驚いて
目と口を開けて!
そこにある全てに飲みこまれて。
頬を涙で濡らして・・

幸せの余韻で映画は終る。

そういえば
会津の炭鉱町が舞台の「フラガール」でも、豊川悦司が娘のフラダンス教室通いのために頑張ったんだよなぁ。

願わくば・・
願わくば、
世の父親たちの、踏ん張りと、堪(こら)えと、流した涙の、
すべて報われんことを。

・・・・・・・・・・・・・

きりん
きりんさんのコメント
2023年4月14日

お互い、早々にバレエをやめてしまった私たちですが、それでも今でもバレエの舞台や映画には胸が高鳴るんですよね。

きりん
琥珀糖さんのコメント
2023年4月14日

間違えました。
「愛と哀しみのボレロ」に出演したジョルジュ・ドンのバレエを
京都で生でご覧になったのですね。
その方が余計に羨ましいですよ!!

琥珀糖
琥珀糖さんのコメント
2023年4月14日

きりんさん

コメントありがとうございます。
はい、アダム・クーパーのソロのバレエ(ひとりで15分ほど、
ジーンズ姿で踊りました。)
熊川哲也のリサイタルの賛助出演だったので、熊川哲也より
目立たない配慮があったかも知れません。
そんなに跳ばないでリラックスした振り付けでした(新作だと思います)
体格が良くてバレエダンサーというより線が太い男性に見えました。
もう札幌にはKカンパニーもオペラも来る事は有りません(不景気で)

きりんさんは「愛と哀しみのボレロ」を生でご覧になったのですか?
もう羨ましです。いいなあ!!
私も5歳位の時にバレエを習ってたのですよ。
ところが母が、この子は見込みがない・・・と、早々に見切りをつけて
辞めさせられました。
一目で上手い下手が分かりますものね。

琥珀糖
きりんさんのコメント
2023年4月14日

「リトル・ダンサー」、
「愛と哀しみのボレロ」、
そして
「マシュー・ボーンの白鳥の湖」。

小学校3年生の僕に
「踊ってみたいか?」と訊いてくれたのは母だった。
近所の大学の講堂に「谷桃子バレエ団」が公演に来て、僕を連れて行ってくれた母。
「チケットはありません、でもどうしてもこの子にバレエを観せたいの」と、あろうことかガードマンに頼み込んで、裏口から客席に入れてもらった母って どんだけー(笑)
夜道を歩いて帰りながら、いま見てきた世界への興奮に夢見心地に踊る僕に、母はバレエを習わせてくれたのです。

50年少し前のことです。
「アッ!男だ!」と、初めて男子を見て叫ぶ女の子たちに迎えられて、僕もバレエ教室でリトル・ダンサーになったのでした。

やめたのは3年ほど経ってから。僕はその発言を覚えていないのですが、「男の子はトウシューズを履かせてもらえないらしい」という失意で教室をやめたらしい。
続けていれば熊川哲也か首藤康之か。

「リトル・ダンサー」では、同じマシュー・ボーンの振付けでアダム・クーパーがラストシーンを衝撃的に飾っている。

書いていてふと思ったのだが、僕のバレエを父はどう思っていたのだろう、今度きいてみよう。

きりん