劇場公開日 2001年1月27日

「イギリス映画を代表する名作、オーセンティックな映画技法と人情劇の温かさ」リトル・ダンサー グスタフさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0イギリス映画を代表する名作、オーセンティックな映画技法と人情劇の温かさ

2020年4月17日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、映画館

舞台出身とは言え初の映画監督作とは思えぬスティーブン・ダルドリーの映画技法と遊び心ある演出が、完成されたリー・ホールの名脚本と見事に調和したイギリス映画。父と子の葛藤と情愛をクライマックスまで盛り上げるテクニックが素晴らしい。亡き母のピアノを焚いて暖を取る寂しいクリスマスを挿んでからの、父の心境の激変をビリーの意を決したダンスで表現した流れは、人の心の本当のありどころを描く。イギリス映画のシニカルさもユーモアも過不足なくあり、それでいて温もりのある場面の表現も見事。バレエ学校の合格通知のシーンは、同作ミュージカル化で苦心したようで、ここに映画表現の特長が生かされている。試験場面では音楽が鳴り始めても、ビリーの心と体が一つになり自然と踊りだすまでの間を試験官たちの訝しげな表情で捉えた演出も映画的。ビリーのリズムを取る足のカットと覗き込む試験官が面白い。
才能の目覚めの頃の子を持つ親の心情に寄り添う大人な作品、幅広い世代にプレゼントされた映画の良心作。

Gustav
マサシさんのコメント
2022年9月7日

失礼なんてとんでもないです。僕の方こそ傍若無人な押し付けたコメントを入れてしまい、申し訳ございません。おっしゃるとおりだと思います。ただ、僕の場合!初見でピアノを焚く場面を見落としていたのが悔しかったのだと思います。しかし、おっしゃるとおりの見方になるのだと思います。ホーリナイトに形見のようなピアノを焚く行為、そして、その後の父親の態度の急変。そうですね。無骨で頑固なイギリス人らしい表現なのだと思います。納得しました。自分でイギリスらしい名作と言っておきながら、そこを理解できないのはまだまだですね。
最近、ちょっと、僕のレビューが暴走しているかなぁって感じています。理由はあるのですが、少し自粛するつもりです。ありがとうございました。本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

マサシ
マサシさんのコメント
2022年9月6日

僕もビリー・エリオットをそう考えています。イギリス的名作だと思っています。しかし、母親のピアノを焚く場面を僕は見落としていました。それが、僕としては怒りを通り越して、ショックでした。鍵盤の上にはコードが書かれ、母親が息子の為に残した大事なピアノであることは疑いないことです。ファシズムの本を燃やす行為と同じように僕の目には映りました。大変に残念です。

マサシ
こころさんのコメント
2021年11月30日

Gustavさん
私の拙いレビュー・コメントへ、勿体ないようなコメントの返事を有難うございます。(最早コメントではないですね👀)
舞台演出の技巧が巧みに随所に散りばめられていたんですね。思い起こすと、深く頷けるシーンばかりです🤔
BBC制作のドラマ(NHKで放映)のレベルがハイレベルなのも、イギリスにそのような歴史が有るからなんですね。
深いコメントを有難うございます。良い作品が未だ未だ沢山有るんですね。
とても素敵な作品でした。

こころ
こころさんのコメント
2021年11月29日

Gustavさん
イギリス映画を代表する名作なのですね✨全ての配役、演技が素晴らしく、イギリス演劇のレベルの高さを改めて感じました。

こころ