劇場公開日 2006年12月1日

「意外によかった!」武士の一分(いちぶん) nao-eigaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5意外によかった!

2010年5月29日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

単純

幸せ

なんとなくつまらなそうな映画だなと思っていたんですが
(監督さんごめんなさい)

意外とよかった。

話は単純でなんということはないけど、
じんわりと心にしみる夫婦の絆がよかった。
じーんときた。涙が出た。

妻役の檀れいがすごくよかった。
名前はよく聞くけど、顔も分からない状態だった私。
この作品で彼女に惚れた。

演技くさくない自然な演技。
決して正統派美人ではないし肌もたるんでるんだけど(失礼)、
着物がよく似合う純和風の顔。

声、話し方、仕種・・・
どれも控えめで夫に仕える良き妻をよく演じていた。

常に夫のことを思う。
その姿は時に母のようにも見え、強く美しかった。
(対する夫の振る舞いは時に子供のように見えた・・・)

私がもし男だったらこんな女性を妻にしたい。
そう思えるほど素敵なたたずまいだった。

木村拓哉について。
残念ながら・・・この役は彼には合っていなかった。
決して嫌いではないんだけど
(「HERO」はかなりはまり役だと思う)、
女顔で顔の幅も狭く、渋さや貫禄が足りない。
体型もひょろっとしていて華奢な感じ。
そのため武士役が似合っていなかった。

カツラ、着物も合っていなくて、たまにギャグ(コント)に見えてしまうことも・・・。

今回の役のような亭主関白風味の武士ではなく、
まだ少年っぽさの残る武士なら合っていたかも。

現代的な顔なので、とにかく深みが感じられなかった。

同じ大物俳優ならば、
着物を着て違和感のない福山雅治とかのほうがよかったなと思った。

また、演技も微妙だった。
やはり「現代ドラマのキムタク」風味が抜けきっていなくて、
話し方も「今のまんまキムタクじゃん」と思うようなところもあった。
残念。

全体としては大袈裟な演出がなく落ち着いた様子で、
「ツルッ」としていた印象。
少し物足りない感じで奥深さがもっと欲しいと思った。

だが、妻や徳平の主人(木村拓哉)への寄り添う姿、
夫婦の愛、絆がじんわりと心に響き、
見終わった後清々しい気持ちになれるいい映画だったと思う。
ほんと、意外によかったなあ。

それにしても武士って大変だなと思った。
誇りのために腹きりが当然の世界なんて・・・。
今のように保険もなく綱渡りの世界。

それを支える女は強いなあ。
いつの世も、土壇場で強いのはプライドに振り回される男ではなく、
「縁の下の力持ち」になれる女なのかもしれない。
そう思った。

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nao-eiga