グッドナイト&グッドラックのレビュー・感想・評価
全2件を表示
ジャーナリスト魂
タイトルはCBSテレビ「See It Now」のキャスター、エド・マローの番組の締め言葉。番組は毎週火曜日22時半~23時までの30分、時事ネタを掘り下げる硬派な報道番組でした。エド・マーローはラジオの記者時代にロンドン空襲をアメリカに実況中継したことで名を馳せた生粋の放送ジャーナリスト。
当時、ソ連による核実験、中国の台頭や朝鮮戦争などで共産主義への脅威論が高まっていたことを背景にウィスコンシン州選出の共和党上院議員ジョセフ・マッカーシーが扇動した赤狩り(共産主義者排除運動)に唯一正面切って批判を行ったのが「See It Now」でした。映画ファンならハリウッドの才能ある多くの映画人が追放の憂き目に合された話の方でお馴染みでしょう。「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」にもエピソードが描かれていますね。
番組が取り上げたのがミシガン州空軍のマイロ・ラドゥロヴィッチ中尉の除隊騒動、肉親に共産主義者がいるとの告発で裏付け調査も無く一方的に解雇されたという地元新聞の記事に触発され調査報道に乗り出した。なんでも父親がユーゴスラビアの新聞を読んでいたというのが根拠のようだが、父親が唯一読める新聞だっただけで思想とは関係ないことがわかり後に解雇は撤回された。要するにマッカーシーは十分な調査もせず勝手に決めつけているだけということが明らかになり失脚するのだが番組が果たした役割も大きい、テレビ・ジャーナリズムの確立がなされたエピソードといってもよいでしょう。CBSニュースには放送素材は編集したことがわかるような繋ぎ方でなくてはいけないとか、BGMでの感情操作の禁止など細かい規定がありテレビ報道の手本とされています。
映画はまるでドキュメンタリーのように関係者を淡々と描きます、この辺の作風は新米監督のジョージ・クルーニー流と言うよりプロデユーサーのスティーブン・ソダーバーグの味付けなのかも知れませんね。
モノクロの渋いタッチでしたがふんだんに挿入される資料映像とのマッチングで白黒で撮ったのでしょうか、マッカーシーは本人でしたね。
時折挿入されるダイアン・リーヴスのJAZZボーカルがこれまた素敵な大人の映画でした。
まあ地味かな。。。
1950年代アメリカの「赤狩り」マッカーシズムに挑んだテレビ番組を取り上げた作品。
共産主義に対してヒステリックになっている風潮の中、マッカーシーの問題点を淡々と指摘し続け、非難に対しては冷静に反論する、そんなアンカーマンのマローはまさにあるべきジャーナリズムの姿を表していて、格好良くすらある。
とはいえ、映画としてはとても地味で、大きな盛り上がりはほぼない。
変にドラマチックに演出すると、かえってマローのキャラクターを踏まえたこの映画の雰囲気を壊してしまうので、これは仕方ないのだろうけど、この長さ(90分)で限界。
予備知識なしに観たのだが、これがジョージ・クルーニー監督作品であったことを後で知り、とても驚いた。
全2件を表示