劇場公開日 1993年1月15日

「最近はなんちゃって長回しが多いけど・・・フィルム時代の名作」ザ・プレイヤー kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0最近はなんちゃって長回しが多いけど・・・フィルム時代の名作

2021年10月17日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 冒頭では8分超えの長回しシーン。上手いこと撮ってるな~と思いつつも、カットだらけの映画への皮肉めいた台詞が面白い。邦画『カミュなんて知らない』ではこの映画の冒頭にオマージュを捧げる長回しがあったけど、会話の内容がかなり似ていると改めて気づく。

 基本的にはティム・ロビンスが誤って殺人を犯したことのサスペンスなのだが、ハリウッドの内幕というか、脚本家への敬意と皮肉を同時に描いているかのようだ。ピーター・フォークに連れられてきたリチャード・E・グラント扮する脚本家が無実の罪で処刑される暗い映画を売り込むことが最大のテーマであり、ロビンスがFOXから引き抜かれたピーター・ギャラガーを陥れる目的で採用させたのに、試写が不評だったためにハッピーエンディングに変更するという結末が最高。無名の俳優を使うという前提もジュリア・ロバーツとブルース・ウィリスになってたからなぁ・・・こんなに風刺が効いているのによく出演したものだ。

 ハリウッドライク=ハッピーエンディングというのは言葉通り。結局は商業主義の映画に落ち着いてしまうという、この映画のプロットそのものが風刺になってるわけだ。しかも犯罪者(しかも元愛人を捨てるし)がそのまま幸せになるなんて、かなりブラック。だけど、ポストカード・ビジネスの男は最後に謎となっているというオマケつき。

 旅行中にロビンスが恋人となるグレタ・スカッキにヒットする要素を説明するシーンがあるけど、この映画にピタリとくる内容だった。笑いのパートは刑事のウーピー・ゴールドバーグに持っていかれた感がある。

 チョイ出のカメオ出演が豪華すぎ!本人役として名前が出てくればわかるけど、役名なしの俳優も多くて困ってしまう。スーザン・サランドンなんて可哀想なくらいチョイ役。まぁ、デッドマンなんて呼ばれた主人公がそのまま『デッドマン・ウォーキング』に繋がっていくと考えると興味深いのですが・・・

kossy