劇場公開日 2023年10月13日

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「カーアクション以外の要素を極力”削ぐ”ことで究極の凄みを獲得した傑作」ザ・ドライバー ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5カーアクション以外の要素を極力”削ぐ”ことで究極の凄みを獲得した傑作

2017年7月31日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

興奮

シンプルながらもとびきりの醍醐味を兼ね備えたハードボイルド・カー・アクションのカリスマ。多くの映画はキャラや設定に様々な要素を加味していくものだが、本作は全くもって真逆の存在だ。むしろ削いでいく。名前もいらない。設定も、そしてセリフだって超シンプル。それでいい。そうすることで逆にあらゆる細部の魅力が増し、キャラクターの輝きもかえって研ぎ澄まされることとなる。とりわけ冒頭数分間、全くセリフがなく、状況だけが淡々と描かれてゆく様のなんとクールな事か。そして映像だけで全ての背景を的確に伝える映像編集はさすがである。

夜のしじまを、研ぎ澄まされたドライブ・テクニック、アクション描写が突き破る。リアリスティックな範疇で一体どれだけの事が成し遂げられるのか。この部分を突き詰め、計算しているからこそ、全くの齟齬が見られない。この遺伝子が『ドライヴ』や『ベイビー・ドライバー』にも流れていることは確実だ。

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牛津厚信