劇場公開日 2004年5月29日

「庵野とサトエリで、ハニーフラッシュ!」Cutie Honey キューティーハニー 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5庵野とサトエリで、ハニーフラッシュ!

2018年7月15日
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鑑賞方法:DVD/BD、映画館

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『エヴァンゲリオン』『シン・ゴジラ』の庵野秀明が2004年に手掛けた『キューティーハニー』の実写版。
話題にはなったものの、興行的に失敗し、厳しい声も多く、今となっちゃ駄作/失敗作と言われ…。
でも、個人的には嫌いじゃないんだな。いつぞやの全く原型が無い西内まりや主演版なんかよりずっと『キューティーハニー』である。

とにかくこの作品は、こういう作品だと割り切って高望みしないで見る事。
アニメか安っぽい特撮番組のような演出。
きっと庵野も確信犯的に撮ったに違いない。
アクションやCGが超ショボいと散々言われるが、それも狙い。
アニメと実写を融合させたような本作の造語である手法“ハニメーション”はなかなかユニーク。
開幕早々それを見せてくれる、OPのハニーvsゴールド・クローは、倖田來未のカバー名曲の効果もあって、最ッ高にノリノリ! テンションアゲアゲ! このシーンだけなら5点満点でもいいくらい(笑)
アニメのポップさそのままに、ノれれば楽しめると思うんだけどな~。

忘れちゃならないハニーがハニーである重要要素、西内まりや版では排除された“お色気”。これは勿論!
何と言っても佐藤江梨子の起用が大きい。
見よ、彼女のナイスボディ!
いきなり冒頭からゴミ袋を纏った姿で街を走り、部屋では下着姿、そしてある時はOL、またある時は婦人警官…様々なキュート&セクシーコスプレ。
この役を演じる為の神ボディ!
演技力には難アリだが、それが何だかハニーの天然っぽさを醸し出している。
サトエリの魅力をたっぷり堪能。

周りのキャラも負けず劣らず。
尾頭さん…じゃなくて、ツンデレな女刑事役の市川実日子はぴったりなキャスティング。
パンサークロー四天王もそれぞれ個性的。中でもやはり、ブラック・クロー=及川光博とゴールド・クロー=片桐はいりだね。
個人的にMVPキャラは、パンサークロー首領シスター・ジルに支える執事。常に低姿勢、誰に対しても様付けの敬語、それでいて異様な存在感を発揮する手塚とおるの怪演が一際印象的。

庵野作品らしかぬ底抜けに明るく楽しい娯楽作だが、所々庵野色も。
元気ハツラツヒロインのハニーだが、会社では役立たず。友達は居ない独りぼっち。殺された父の事を思うと、怒りと悲しみが…。
市川演じる女刑事も孤高。
友達を欲するハニーと独りで意気がる女刑事、女二人に次第に芽生える友情。
敵のシスター・ジルも美だけを追求するあまり全ての感情を無くし…。
各キャラに孤独や影を投影させてる辺り、庵野らしい。
また、素早いカットや独特のカメラワーク、演出など、後の『シン・ゴジラ』をこの頃から彷彿させる。

まあ、全てが最高という訳でもない。辛口意見も分かるっちゃあ分かる。
雰囲気は楽しいが、話自体はそれほど面白味は無い。
OPアクションがピークで、徐々に失速。
サトエリのPV、ユルくておバカなギャグ…。
ノれるかノれないか、好き嫌いハッキリ分かれる。

でも久し振りに見たら、まあまあバランス取れていた。
さながら、庵野流『シン・キューティーハニー』。
アニメには及ばずとも、何度か作られた実写ハニーの中でも、上々のエンタメ作だと思う。

近大
2018年7月15日

西内まりや版もお願いしますw

巫女雷男