さらば青春の光のレビュー・感想・評価
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とてもよかった
大昔レンタルビデオで見て2回目、主人公がへなちょこ野郎で、徒党を組んで暴れる様子に反吐が出そう。会社を辞めたのにスーツにネクタイという堅苦しいファッションを好むところが全く理解できない。だったら真面目に硬い仕事すればいいのにと思うのだが、たぶん違うのだろう。
とにかく、へなちょこがイキっている様子が腹立たしく、暴動の場面はすごい、などと考えて見ているうちに、主人公の彼を否定することは自分を否定することであるような気持ちになって、自分の恥ずかしい部分を見せられているような気がしてくる。あほみたいにバックミラーをつけたベスパ、自慢のスーツ、彼にはそれしかなく、青春映画ではパーティの場面では必ず主人公が悲惨な目に合うのが定石なのだが、この映画では活き活きと楽しそうにしているパリピで、自分とは全く違うのだけど、そんなパリピの中身の無さ、パーティや仲間といる時だけがすべてといったような悲しさは感じる。
スティングが警察に殴り掛かっている暴動シーンは、ポリスがポリスを殴っているというギャグなのだろうか。そんなスティングがホテルでコマコマと働いていて、主人公と同様に打たれる。
時計じかけのオレンジに似てた
・モッズのパーカーとベスパのミラーを沢山つける改造のセンスに比べてロックの中型か大型くらいのバイクと革ジャンの対立だったら、ロックの方が勝ってるように見えてしょうがなかった。でも、イギリスとアメリカの対立でもあったのかな。ベスパの改造の感じは良かった。
・映像の感じから時計じかけオレンジが後かと思ってたら、さらば青春の光の方が7年も後で驚いた。そう思うと、時計じかけのオレンジのSF感、凄まじいと痛感した。
・もしかしたら、20歳ごろ見たら全然ちがう感想を持った気もするけど、ジミーには感情移入できず、若者が騒いでいる映画といった感じだった。
・モッズとロックが対立していたけど、特に致命傷を与えるとかでもなく、バイクを蹴るとか何かゆるい対立に見えたけど、後半、集団暴行事件になったり一体何があったんだと思った。
・前半は薬を飲んで騒ぐための奔走、ステフと付き合うには?で、後半のモッズの集会でジミーが逮捕された後の皆の凄まじい冷たさが面白かった。勘当されて自暴自棄になって恋人と思ってたステフが、仲間に取られたり、モッズの仲間たちとはもめて孤立したり衝動的に仕事を辞めたといったら、大人になれとモッズの仲間たちに諭されたり、自慢のバイクが大破したりという強烈に惨めな事が雪崩のように起きて凄かった。前半パートもそんな幸せそうでもなかったので、悲惨さが際立った。
・モッズの憧れの男がホテルのベルボーイだった事に激怒したジミーの気持ちが全くわからなかった。結局、お前もあいつらと同じか!って事だと思うけど。そのあと、どうやって鍵を?と思いつつ、バイクで疾走後、崖からバイクだけ落としたけど、ジミーはどうなったのだろう。
・ジミーのような奴が何で皆から慕われてるのかが物凄い不思議だった。
観終えるとわかる邦題の秀逸さ。
デジタルリマスター版上映にて鑑賞。
終盤に向けすべて(友人、好きな女の子、家族、スクーター)を失っていくジミーくんに、この作品のラストはどうなるのかしら…と固唾を飲んで観ていたが、切なさとほろ苦さと希望が入り混じる粋なラストシーンだった。
運転者不在で崖から墜落し、壊れたスクーター。
あれはジミーくんの青春と、大人になることを拒否していた彼自身なのね。
邦題の切ない響きがここでようやく効いてくる。
中盤くらいまでは「フラストレーションと暴動はいかにも若者らしいとはいえ、ジミーもモッズの若者たちも本当にどうしようもない奴らだな!」って思ってたんだけど、すべてはラストのスクーターが壊れる(=ジミーのモラトリアムの終焉)に繋げるためだったのね、とわかる。
劇中音楽のUKロックが良いなーと思ってたんだけどザ・フーだったのね!(そういえばジミーくんの部屋にもポスター貼ってあった。)
あと「モッズ」ってスタイルのことだったのか、と本作を観て知った。モッズコートは彼らの象徴的ファッションだったのね。
「若者の行き場のない怒り」ってヤツ。
カッコ良く言い過ぎだと思うし、この陳腐な言い回しには嫌悪すら感じる。ぶつける相手のない怒りの出所は自分自身。不条理な怒りを周囲にぶちまけるのは止めなよ。ただただ、迷惑。
ジミーに全く魅力が無く、共感出来なくて辛かった。スティングが結構ガッツリ出てるのにはビックリ。最近見た、ベルファストやノーザン・ソウルと比べてしまうのはしょうがないでしょ?全然ダメだった、俺的には。
破滅的な人格のジミーの理性が決壊。崖から落ちるて行くヴェスパ。「さらば青春の光」なんて好意的につけられた邦題。モッズを捨ててどこへ行く気なのか。行き場なんか無さそうなんですけど。
「ブーム」「大人になること」「子供でいること」の本質をついた名作
名作です。
とにかく、何をとっても音楽とファッションがかっこいい!!
リアルなモッズって本当にかっこいいですね。細身のスーツにM-51を羽織ってミラー盛りだくさんのランブレッタに乗る…。これだけでもう本当にかっこいいのですが、また、女の子もめちゃくちゃ可愛い!!主人公のジミーが狙うステフの格好がいちいち可愛い!!レザーのステンのコート姿とか、もうほれぼれです。
そんなファッションが一番楽しめる映画の一つですが、これって、本当に哀れな普通の若者の姿を描いた、現代にも大きく通じるテーマなのかなって思ったりもします。
主人公のジミーはトレンドであるモッズを敬愛し、自分がモッズのスターになると信じ込んでいるメールボーイのごく普通の青年。この時代って、英国は兵役が免除されたのかなくなったのかで、少年が自分で自分の好きなものをかったりすることができるようになり、そのためにバイトをして、好きなものに明け暮れるっていう時代に入っていたみたいですが、周りの少年もそんな感じで、両親からは当然理解されず、両親とのいざこざも絶えず…。
毎日仕事が終わればクラブでクスリと女とダンスと…。
そんなジミーはモッズのグループの中でもスターのエースにあこがれ、その彼女のステフに恋をする…と。
また、このエースが本当にかっこいい。だってスティングですもん笑。
ジミーはブライトンビーチで自分がモッズの顔となりなんとかステフの興味を引こうとし、そのことには成功するのですが…。
最終的には、ロッカーズと争いながら、ブライトンビーチでのロッカーズとの対決をへて、警察に捕まるわけですが、ここからがこの映画の本質。ジミーは家をでて、今までの自分の素晴らしい生活にしがみつこうとし、仲間の元に行くわけですが…。ステフはジミーの友達とべったり。失望のジミーは事故を起こしべスパもお釈迦に…。あこがれだったエースのホテルでのベルボーイとしての働きをみて、その姿にも失望し、エースのべスパを盗んで疾走…。
結局ジミーは、モッズという一つのブームにどっぷりつかって、その中で自分がなれるはずのないものに憧れて、自分を特別な人間と勘違いして…。でも自分の憧れていたモッズというものは一つのトレンドであり、あこがれのエースですらちゃんと働いていて、仲間やステフはその青春の刹那を楽しんでいるにすぎず、自分だけが踊っていることに築いたのだと感じました。
本当にモッズとロッカーズの対決とか見てると、スタイルの違いなだけであって、本質は何も変わらないのにくだらないな…と思う反面、子どもなんだもん、こんな熱いことがあってもいいじゃん!!って感じることもなくはないのですが…。
ジミーが全てを失って、たくさんの事に築き、大人になっていく。子どもと大人の狭間だからこそのこの話って、今にもつながる秀逸なテーマだなって思います。たとえばスタンドバイミー見たいなことに通じるような。
全てを語ってくれるラストのシーン、エースのべスパで海岸線を疾走するシーンがとても印象的で、それまでの数々の印象的なシーン―友人のホームパーティーでの乱痴気騒ぎや、ロッカーズとの対決、ブライトンビーチでの勝利の行進―とのコントラストが強いのが本当に印象的でした。
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