ブロークバック・マウンテンのレビュー・感想・評価
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観賞が難しい映画
これほど観賞が難しい映画はなかった。観る側の態度次第で嘲笑することもできるし、感銘することもできる。
二人が山中で唐突に一線を越えてしまうシーン、正直悪い冗談かと思う。その後も久しぶりの再会の激しいキスを嫁に見られてしまうシーン、年月を経て子供がいる中年同士の逢瀬の数々のシーン、普通に考えて正気の沙汰ではない。
だが、ジャックの死を期に気づくものがある。一人の人が一人の人を最後まで愛したというその事実だけがぽつーんと残されている。姿形ではない心だけが残されている。その真実に胸を打たれ自らの偏見を知るという。。
大自然を背景にした物語という点も印象深いものがある。
予備知識なしでのぞんだのでこれは面食らった。名作だと思う。
大自然の景色が癒されます。
冒頭の羊の大群の移動シーンが最高です。
大自然のなかで過ごすうちに親しくなっていくふたり。
お互いに離れて生活していて、大事な家族が出来ても、どうしても会わずにはいられない。
自然の中でたまに一緒に過ごせる貴重な時間。
失ってみて気づく大切さ。
せつないおはなしでした。
たまってるのなら羊を・・・って昔の小噺だなぁ
牧場主アギーレを演じたランディ・クエイドは言わずと知れたデニス・クエイドの兄である。その弟デニスは『エデンより彼方へ』(2002)でジュリアン・ムーアと結婚して幸せな家庭を築いているにも拘わらず男と浮気していたのです。この映画を観た兄は「よからぬことをしおって・・・」と怒り震えたに違いない!ヒース・レジャーとジェイク・ギレンホールの仲睦まじき戯れにショックを受けるシーンでは、弟デニス・クエイドの男とのラブシーンが重なって見えたことでしょう。もちろんミシェル・ウィリアムズの演技は、『エデンより彼方へ』での夫の浮気を知ったジュリアン・ムーアの演技と重なって見えました。
ゲイの映画という理由で様々なバッシングを受けたりしている映画ですが、2人とも根っからのゲイというわけではなく、たまたま好きになったのが男だっただけのような気がしてなりません。「1回限りだぞ!」という特殊環境の中での出来事から始まり、20年間で数えるくらいしか会えなかった2人。タバコ、ウィスキー、殴り合い、表面的には普通の男としか見えないし、密会だって隠れてこそこそと・・・誰に迷惑をかけるでもなく、普通に生活をしている2人。お互い妻子ある身でもあったし、異性との浮気ならば2人の関係にヒビが入ることもない。純粋な男同士の友情に肉体関係がプラスされただけのこと・・・
この映画の優れているのはゲイだけがテーマではなかったことでしょう。過去に目撃したゲイの拷問による死によって差別による人間の残虐性。貧しくてもたくましく生きていこうとする人間をも描き、金儲けだけが全てではないことも訴えている。また、夫婦の絆が弱いためか、親子の絆が終始クローズアップされていました。さらに注意深く見ると、2人の関係をどこまで知っていて、知っているのに許容するのか、全く知らないのか、台詞と表情から愛情の深さを計り知るのも面白いと思います(ちなみに、よくわかっていません)。
俳優の演技は皆素晴らしかったのですが、特にミシェル・ウィリアムズが良かったです。今後も必ず賞レースに絡んでくることでしょう。もちろん、アン・ハサウェイの大胆演技もgood!そして、最も目立っていたのは“山”でした・・・
【2006年3月映画館にて】
何故愛し合うようになったのか?
自粛中にWOWOW で録画した本作品を鑑賞
うーん。何故二人が愛し合うようになったのか?最後まで理解出来ず終わった。
二人の心の機微が描かれないまま、いきなりテントの中での絡みになってしまい、そこからの数十年を描かれても、気持ちが入らず。会いに行ったのに追い返されただけで、そのまま他の男性と寝てしまうとか、単にやりたいだけ?理解できなかったな。
魂の物語
大好きな作品で、十数年振りに再鑑賞しました。2006年の公開当時、同性愛はまだまだゲテモノ扱いで、同性愛を扱う作品は一部の映画マニア位しか鑑賞していなかったと記憶しています。しかし、今作の公開を境に、その後同性愛の作品が沢山公開され今となっては一般的な作品になりました。今作はジェンダーの変革期に多くの人に受け入れられた作品であり、時代を変えた作品とも言えると思います。
イニスとジャックが出会った1963年は、カウボーイがアメリカで廃れ消えゆく時代。逆にアメリカ国家は、経済的な繁栄を迎えます。時代に逆光するかの様な地味で貧しいイニスとジャックの生き様は、不器用ですが純粋です。イニスの様な口下手な人間よりも、口が達者なセールスマンがもてはやされる時代が幕を開けても、男らしさという古い価値観には縛られたまま。社会から必要とされなくなった男達の孤独な魂は、どんなに反社会的であってもお互いを惹きつけて離れられなくなってしまった。だから、今作は恋愛や友情という関係に収まらない純粋な魂と魂のぶつけ合いの物語。公開から十数年経っても観る者を魅了するのは、この魂に私達が惹きつけられているからだと思います。
これも愛
ヒース・レジャーとジェイク・ギレンホールの2人がそれぞれ妻子がありつつ長年にわたって愛し続けたお話し。羊って平地にいるイメージだったけど、山岳でも放牧するのを知りました。映像が綺麗ですね。アン・ハサウェイもいい味出してます。
辛い恋だなぁ、不器用な人だなぁ、そして真実の永遠の愛
人恋しさ、というパズルのピースが調度隣同士で、あの夏のブロークバックマウンテンでマッチングした、と感じた。
そりゃあ、何があろうと離れられない
死が二人を分かつまで、とはこういうことでしょう
長い長い時間、逢えるのはわずかで、ホント、辛かっただろうな
背徳感も半端ないだろうし
ジャックの真っ直ぐな愛にイニスは救われていたんだね
イニスが9歳の時にパパからあの嫌悪感、世間の感情を見せられてなければ、また二人の世界は変わっていたのかも。
生涯愛し得る人と出会えて、愛し、愛されていた時間があって、辛かっただろうけど幸せだったと思う。
ブロークバックマウンテンしかなかったようですが、イニスにとってかの地がいかに癒しの地だったか、よく伝わりました
ジャックとイニス、それぞれの本気な思いがそこかしこに散りばめられいて愛おしいと思いました。
真っ直ぐで不器用で辛いことこの上ないけど、真実の永遠の愛をつかめて良かったの
ラストのジャックのパパママが素晴らしく、だからジャックがあんなにも素直な真っ直ぐさんに育ったのね、と納得
ただ、遺骨の破片でいいからブロークバックマウンテンに埋めてあげてほしいなぁ
と思いました
イニスがパパの9歳で見せられた世間の感情、嫌悪感が、なければ
音楽、映像、演出が織りなす一体感
美しい映像の中、単音でクリアに鳴り響くギター、行ったことはない場所なのにその場に居るような雰囲気を与えてくれる、まさにこれこそ映画!というような作品だった。話には全くハマらなかったけど・・・。大きなスクリーンや音響で体感しなければ、真の良さは伝わってこないかもしれない。
四人四様
居場所なく育った者が辿り着いた平安が社会的には場所が用意されていない。その苦悩を携えるヒースレジャー、訛ったボソボソ感や刹那に彼が暴力に走る姿が痛々しい。
冒頭のジェイクギレンホールはヒースより男らしいが、それが一年経て山に帰ってきた時に一変。同じく可愛い花嫁、ミシェルウィリアムの変貌ぶりも目を引く。内面の不安が滲み出る表情。こちらも素晴らしい。
過去の禁じられた逢瀬に引きづられて人生を過ごす者の話は多く、それを同性愛に当てはめている。受け入れることのままならなさ、秘めて心に住まわせる。
羊の群れや大自然の風景の中でこの話が綺麗に縁取りされる。対照的なラストカットのトレーラーハウスから窓で切り取られた外の風景が美しく心に残る。
セクシャルマイノリティが
差別される世の中って当事者には生きにくい世の中なんだろうが、この映画で見る彼らに同感できるかと言われるとうーんとなるのは、マジョリティだって本当に愛した人と結ばれるのはほんのひと握りだからと思っちゃうから。
そんなに周りの人まで不幸にしちゃいかんじゃない?
なんて事を考えさせられた映画。
アルマ目線で再視聴
アルマ目線で再視聴。イニスとジャック2人の関係は確かに美しく描かれています。ゲイに差別や偏見が厳しい時代であり思い通りにならない苦労は理解出来ますが、イニスは特にカッとしやすいし自分勝手だと思いませんか。育児と仕事を真面目に頑張ってきた奥さんのアルマが可愛そうでなりません。私が奥さんだったら人生を返して欲しいですね。
四人
観てて辛くなる。もっとうまく生きていくことができなかったのか。役者陣の熱演で余計にやりきれなさが募る。
アン・リーはもう『恋人たちの食卓』や『ウェディング・バンケット』みたいなユーモアを交えつつ、人の心の機微を描き出す様な作品は撮ってくれないのかな。個人的な思い込みではあるが、それが私の好きなアン・リー。
同性愛は取り残された差別のフロンテアなのだ
美しい風景を独特の空気感で
自分の恋愛対象のリミッターを超えた先にある世界を見せる
しかし自分には宇宙人を見るような主人公の嫁の目で男同士のラブシーンを見るしかなかった
愛される対象が女性でないことは女性にとってはどういうことか?
その意味を見せる嫁と離婚後の彼女の二人の女性
子を産まない女なら抱きたくない
子を育てられない男なら射精を受け入れたくない
男女の本音がぶつかりあうシーンは心にささった
では男同士の恋愛の本音は何なのか
単に肉体だけの快楽なのか
精神の強い結び付きなのか
男女の夫婦は子を作り育てることが目的なのか
ならば子育てを終えたら何が残るのか?
つまり男同士の恋愛はより純粋ということなのだろうか?
男女の間であっても本作のような世界はある
夫婦でありながら別の存在を密かに愛し続けることも
永遠に結ばれないとわかりながら家族になれないとわかっていながら胸に秘めて死ぬその日まで
こういう形の恋愛もあるのだと提示する事が 、本作のテーマなのだろう
同性愛者が大勢の男性にリンチを受けるシーン
かって南部で黒人が白人達から肌の色が違うというだけでリンチを受けていたのと何程の違いがあるといえるのか?
むしろ黒人達は公民権運動を経て差別は表面的には解消されていったのが本作と同じ20年の年月だ
同性愛は取り残された差別のフロンテアなのだ
それが本作を観たことによって自分に伝わった事だ
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