劇場公開日 1999年12月18日

「淡い映像に浸りながらも内容に戸惑いが…」御法度 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0淡い映像に浸りながらも内容に戸惑いが…

2021年11月3日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

少し前の三船プロ作品「新撰組」のTV放映に
続いて、同じく新撰組を描いた作品として
2度目の鑑賞。

大島渚作品の鑑賞は
30代に撮った「絞死刑」「儀式」と
50代の「戦場のメリークリスマス」位だが、
この作品、テーマを暗示するかのような
淡い幻想的な映像が魅力的ではあった。

しかし、残念ながら「戦場メリ」を
上廻ることは無かった印象だ。

男同士の友情を超えた触れ合いとの点では
「戦メリ」と共通するものがあるものの、
国や民族の観点と男色とでは、
いかんせん話のスケールに
差を感じざるを得なく、
懐かしさを感じる淡い映像に浸りながらも、
新撰組秘話的内容に戸惑いがあった。

そもそもストーリー的に解らないのは、
加納は初めの受動的な男色の関係から転じて
男色相手の二人を斬ることが出来たのか、
どのようにして能動的なものに
変わっていったものなのか、
狂気への変節の結果なのか、
よもや出世のための手段だったのか、
私には解らない。

近藤と土方や他の関係でも
匂わされるように、
この映画では男色を
一般解化するようなニュアンスがある。
確かに同性同士の友情にも多少は
愛情のような要素は存在するだろうが、
それでも男色とは決定的に異なると思う。

この映画での、
そんな特殊解を一般解的に描こうとする
強引さに、私としては違和感を感じざるを
得なかったのかも知れない。

そして、男色を社会悪的に描く内容は、
今の時代の指示は難しいだろうとも思った。

KENZO一級建築士事務所
きりんさんのコメント
2021年11月3日

こんにちは、お久しぶりです。

巷では三日と開けずナイフを振り回す事件が起こっていますね。あれは一体何なのだろうと考え込んでしまうのですが、「新撰組に入ったのは人を切るためです」と加納はおくびもなく言ってのけていました。
そして結局理由はわからず終いですが「前髪を落とさないのは願掛けである」と。

理解不能の化け物を描いたという部分では全滅していった新撰組の呪いの一端を明かした化け猫や牡丹灯籠のような“怪談”様なものも僕は感じた次第です。
夏に観るのが良いのかもしれません。

きりん