劇場公開日 1981年4月4日

「ヒッチコックが作品では観せない部分を敢えて撮るところが監督の挑戦であったと思います 現代的解釈というべきかもしれません」殺しのドレス あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ヒッチコックが作品では観せない部分を敢えて撮るところが監督の挑戦であったと思います 現代的解釈というべきかもしれません

2020年11月20日
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鑑賞方法:DVD/BD

実質的にヒッチコックのサイコの現代的リメイク
単にシャワールームの惨劇だけのことではありません
不倫の情事から始まって、主人公がバトンタッチする構造が同じです
サイコ犯もひねってあるが、根本的には同じと言えます
カツラと衣装のオマージュもしっかりとあります

外面と内面が違う
これは序盤の美術館からしてそうでした
外側はメトロポリタン美術館、しかし内部はフィラデルフィア美術館です
殺しのドレスという題名はこれを意味しています

それをデ・パルマ監督らしい映像で撮ってあります

ヒッチコックが作品では観せない部分を敢えて撮るところが監督の挑戦であったと思います
現代的解釈というべきかもしれません

ラストシーンの二度目のシャワールームの惨劇は夢落ちかい!となりますが、考えてみればあの男の子はまだ高校生1年か2年位、つまり16歳か17歳
これ淫行です
未成年者と娼婦の情事です
40年も前のことですからかなりモラル的にヤバいシーンです
正常とされる側の人間のモラル崩壊の方が恐ろしいことなのではないのか?
これを異常と思わない方が恐ろしいことではないのか?

現代ではこのようなモラル崩壊がどんどん広まっている
外面と内面が違う
殺しのドレスをまとっているのは我々普通の人間かも知れない
その問題意識の提示だったのだと思います
それが監督のメッセージです

21世紀の現代においては、もはやどこが問題なのか気づくのも難しくなっているかも知れません

なにしろコミケに行けばショタの薄い本を普通の女性が描いて自ら売って、それを普通の女性が争って買い求める時代なのですから

あき240