劇場公開日 2002年9月7日

「【”ロイヤルは沈む軍艦から、家族を救った。”疎遠になっていた家族の関係性が再構築していく過程を、独自のシンメトリックな映像構成、独特なユーモアに満ちた人間性肯定の世界観の中、描いた作品。】」ザ・ロイヤル・テネンバウムズ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”ロイヤルは沈む軍艦から、家族を救った。”疎遠になっていた家族の関係性が再構築していく過程を、独自のシンメトリックな映像構成、独特なユーモアに満ちた人間性肯定の世界観の中、描いた作品。】

2022年4月12日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

ー 今作は、ウェス・アンダーソンの第三作目だが、この時点で独自のシンメトリックな映像構成、独特なユーモアに満ちた人間性肯定の世界観が出来上がっている事に驚く。-

■テネンバウム家の長男チャス(ベン・ステイラー)は10代でビジネスに精通し、長女で養女のマーゴ(グウィネス・パルトロー)は12歳で劇作家デビュー、次男のリッチー(ルーク・ウィルソン)はテニスのジュニア選手権で3連覇を果たした。
 しかし20年後、彼らは問題を抱えていた。
 そんな中、父親のロイヤル(ジーン・ハックマン)は家族の絆を修復しようと画策する。

◆感想

 ・幼き時に、天才児と言われたロイヤル家の三兄弟(長女のマーゴが養女という設定が絶妙である。)。ロイヤルの破天荒な生き方に、妻は家を離れ、子供達も徐々に疎遠に。

 ◆そこで、ロイヤル・テネンバウムが贖罪の想いを込めて、”画策した事”。

 ・それにより、22年振りに再会した家族と友人は、昔の軋轢を徐々に乗り越えて行く・・。

 ・リッチーは、長年想いを持っていた姉、マーゴに”テントの中で”想いを伝え、父に使い込みをされ、妻を飛行機事故で亡くした悲しみと怒りを抱いていた、チャスは時間を掛けて、父を赦し、最期を看取る。

 ・劇中に流れる、エリオット・スミスや、ニコ、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、ボブ・ディラン、ニック・ドレイクなどのアコースティック・ミュージカルも作品の趣を高めている。

<天才ファミリーと称された家族の崩壊と再生を、ウェス・アンダーソンが、ユーモアと切なさを飄々としたトーンで描いた作品。
 第三作にして、ウェス・アンダーソン独自の世界観が確立している事に、驚いた作品でもある。>

NOBU