「センスの無い演出と幼稚な脚本」ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女 Fate number.9さんの映画レビュー(感想・評価)

1.0センスの無い演出と幼稚な脚本

2024年5月3日
PCから投稿

< 原作未読・映画版のみの評価 >

それなりに金も手間も掛かっているし、CGや小道具類は丁寧な作りではあるけど、肝心のストーリーや演出は大雑把で突っ込み所が多い。

作中のエピソードは聖書の物語をベースにしているらしいが、ファンタジー世界の出来事とは言え、そこに納得のいく理由や説明がほとんど無く、ご都合主義的な展開が非常に多い。あの世界に兄妹たちが行く事で特別な力を得るのか、それとも単に予言が成就するから死なないだけなのか、肝心の部分がはっきりしない。狼との戦いの時は剣もまともに扱えなかった少年が、なんでラストではあんな怪物どもと互角以上に戦えるようになっているのかなど、そうなる「過程」に納得 の行く設定や理由が見当たらない。少年達の「成長」こそが肝なのに、その「成長」に説得力が感じられなければ、当然そこに感情移入も感動も出来まい。

演出全般にもセンスが無い。例えばアスランが初めて登場するシーンは、テントからのそのそと出てくるんじゃなくて、やはりこの世界の「王」なんだから、太陽をバックに雄々しく山の頂に現れるとか、少年たちを助けるために颯爽と登場するべきでしょう。また、氷の女王にしても悪役としての「凄み」が感じられない。私が演出するなら、女王の髪はCGで氷のように表現するし、杖で石化させるんじゃなくて、女王の吐息で「氷付け」にするとか、「氷の剣」で 戦ったりさせると思うけどなあ。氷の結晶の刃を投げつけたりとか。そういう「氷の女王らしさ」を演出しないと、どうしてわざわざ「氷の女王」というキャラ 設定にしているのか分からないでしょ。

もともと原作が古典で子供向けではあるけど、やはり日本の優れたアニメや漫画を見慣れている人が見 るには、キャラクター設定も世界観もストーリー展開も大雑把でセンスが無い。あと時間が長い分、展開もたるい。少しでも大作感を出したいのだろうが、そのため無駄に間延びしているシーンが多いのも難点。

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Fate number.9