劇場公開日 2024年3月30日

「推し活だけではなくジェンダー問題でもある」成功したオタク kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5推し活だけではなくジェンダー問題でもある

2024年4月5日
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鑑賞方法:映画館

推し活は確実に世界を動かしていると感じることが多くなってきた。概念的なものではなく、現実の出来事として。推しの種類も多種多様だからその人その人で楽しみ方やスタンスも異なる。推し活をタイプ分けする言葉もたくさんあったりするし。
さて、この映画。推し活で有名になった女性が映画監督として、性犯罪を犯した推しとどう向き合うか、推し活をしていた人たちのインタビューを通して考えるドキュメンタリーだ。自分は、いわゆる推し活と呼ぶほどハマった人はいないが、推す気持ちがわからないわけではない。だから、映画に出てくるファンたちが話す言葉に少々驚いた。推しが犯した犯罪を許せずファンを辞めているから。大麻とかと違って性犯罪だから同じ女性として許せないという気持ちもわかる。でも日本ではアイドルやアーティストの性犯罪に馴染みがないから違和感を覚えた。だから、ファンである前に女性として考えてほしいと話すファンの言葉は、ハッとさせられてしまう。馴染みがないからだけじゃなくて、そもそも男だから性犯罪に鈍感だという可能性も否定できないけど。推し活の話なのにジェンダー問題を考えさせられるという不思議。なかなか興味深かった。
推し活って、日常が豊かになり、生きる活力をもらえるけど、こうした事件が起こってしまうと多大なショックを受ける危険性もはらんでいる。しかも、推しが犯した犯罪なのに、推していた自分が罪悪感を覚えるという危険性も。いろんな意味で日本と韓国の違いを感じつつ、それでも(違う人で)推し活を続けようとする人たちにエールを贈りたくなる。推しがいるって、それだけで幸せじゃん!と。

kenshuchu