劇場公開日 2024年3月30日

「応援することも罪を償えと願うことも無自覚の加害なのか…?」成功したオタク わたろーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0応援することも罪を償えと願うことも無自覚の加害なのか…?

2024年4月2日
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非常に興味深い内容だった。自分もアイドルの追っかけをしてた時期や、女性芸能人の応援をしたりもしているので見につまされる。

なんなら、ファンキー加藤の醜態を赦し、ゲスの極み乙女のゲス不倫も許した来た側ではある。愛の歌を歌っていくにも関わらず。

競馬の木村哲也調教師のパワハラは許さないというスタンスをとっている。人にやさしくできない人間に、馬に優しくなれるかいなという想いが強いからである。

じゃあ結局『元々推しだったから』前者には寛容で、後者には厳しい目線を送ってしまうのか。これは果たして推しは良い概念なのか。応援することすら、もしくは「許されるために猛省すべき」と思うことすら、加害になるのではないかと当事者性を伴ってしまうのが人間。めしてや推しだったらどうか。

ドキュメンタリーの作りとしては不完全のかもしれないけど、ずっと何かを考えさせられる。

推しが性加害をしてしまったという現実に対して、色々な考えをもつオタクが出てくるが、『性加害はダメなこと』という前提だけはぶれてないのが良い。それでも好きなんだよ〜っていうオタクの気持ちも本当によく分かる。

雑誌の記者にインタビューに行く流れも、朴槿恵大統領に対するデモに行く流れも、あまりにもきれいだった。見えないものを見ようとして、取材依頼するアプローチが素晴らしい。

これ以上推しが失望しないようにするためには、推し自体が何らかの理由で死んでしまったり表舞台を去るしかないという極端な意見も出てくるが、「罰は受けてほしいが生きていてほしい」というのもよく分かる。

強いて言うなら、女性ファンのつきやすい男性K-POPグループを取り上げたとはいえ、男性のファンはいたはずなので、男性目線で何を思うかは語らせてほしかったかな。

松本人志や旧ジャニーズの問題と向き合う我々には、黙って見過ごすわけには行かない力作。

ヨーグルトマッコリのところは笑っちゃった。

わたろー