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映画レビュー
世界一危険な難民キャンプの過激思想
TBSの戦場ジャーナリスト、須賀川拓氏が普段のニュースではなかなか出せないネタを映画で披露している。今、世界の国際ニュースはロシアのウクライナ侵攻とイスラエルによるガザ侵攻で占められているが、ISISの問題は全て解決したわけではない。こうした今ホットではないネタはなかなかテレビのニュースに載せる余裕がないんだろう。
このドキュメンタリーは、世界一危険な難民キャンプと呼ばれる地で、ISISの過激思想が純化した形で残ってしまっていることを赤裸々に映し出している。
恐ろしいのはその思想が戦闘員の男性だけでなく、女性、そして次世代を担う子どもたちに浸透していること。須賀川氏が話をしようと近づいても話が出来ず、敵意を剥き出しにされる。苦労して話にこぎつけても対話が成り立たたない。ISISの教えが全面的に正義で正しいと本気で信じ込んでいると思しき人々がたくさん出てくる。
対話が成り立たなければ、このような分断状況は改善のしようもないように見える。今は下火であるが、この火種は将来かならず大きな憎悪の炎になってしまうのではないか、そう思わせる強烈な内容だった。
命の危険を冒して取材した方々に感謝。
イスラム国というテロ集団がいることを知っていた。
しかし、国内にいる限り関係ないと、さほど、興味はなかった。
しかし、このドキュメンタリーを観て、指導者が亡くなってもなお、恩讐のような形でその思想が難民キャンプで受け継がれていることを知った。
中東とアメリカの確執は、遠くイスラエル建国にさかのぼり、湾岸戦争、NYテロ、イラク戦争と続き、ガザやシリアへのイスラエルの攻撃という形で今も続いている。
その中で、イスラム国は静かに牙を研いでいるのだと、身に迫る危機として感じた。
先月のモスクワのライブ会場でのテロ事件は、衝撃的だった。
最近、日本で映画館で映画を観る時も、一瞬、緊急時の避難経路や非常事態時どうするかを考えるようになった。
海外にいる時は常に周囲を警戒しているが、国内でそれを考えることは今までなかった。
外国からの入国者が増えたこともあるが、日本人も変質してきたように思う。
イスラム国が行う大規模テロは、今世界のどこで起こっても不思議ではない。
そんな時代に、私は、私たちは生きていることを再認識した。
30年前は、通勤電車でガチ寝していたけれど、もうそんなことはできない時代なんですね…。