劇場公開日 2024年2月2日

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「内容は薄いが色々な論点がありそうな映画。韓国語学習枠(?)」ローリング・ガール yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0内容は薄いが色々な論点がありそうな映画。韓国語学習枠(?)

2024年2月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今年52本目(合計1,144本目/今月(2024年2月度)5本目)。
(ひとつ前の作品「ザ・ガーディアン 守護者」、次の作品「エレクション 黒社会」)

 キンパ(日本では「のり巻き」がおよそ相当する)店を描く趣旨の映画で、コロナ事情の韓国でのこうした個人経営のお店の厳しさが背景に存在する(コロナという語、またコロナ事情により各登場人物がマスクをするなど、コロナという概念はこの映画には顕著に表れる)映画です。

 一方、映画のストーリーは「驚くほど」少なく、キンパ店の切り盛りを任された主人公のもとに色々な人がやってきて、それにいろいろ考えさせられた主人公が進路を考える…というストーリー「ひとつ」です。それ以外の筋がまるで存在しないので(気になる点は後述)、解釈うんぬんがもめるというか「もめようがない」映画です。

 また、大阪市で韓国映画を見たいなと思えばシネマートですが、シネマートでいくら韓国映画をみても、当然、系統だって何らか語学学習をしないと、当然、「映画だけをみても」韓国語にせよ中国語がマスターできることは絶対ありません。ただ、この映画に関しては、話し方が妙にゆっくりである以上に、「はい」「いいえ」「キンパ」「料理」「おはようございます」…と語彙数が非常に少ない(また、扱われるのが上記のような事情なので、分野も制限される)事情もあるため、「体感的に」字幕は当然つく映画ですが、韓国語のみのききとりでも「あたかも」聞き取り率は2割程度あるんじゃなかろうか、というような映画です(国をあげての韓国語学習の推進なのか、あるいはキンパの宣伝映画なのかとすら正直論で思える)。

 この点、実際にどう扱われているかは微妙なところ、韓国でいうキンパは日本の「海苔巻き」と比べると、酢飯か酢飯を使わない(油などは用いる)かという点でまず違いますが、「海苔を巻く」という点では同じです。海外ではこの点、海苔を食べる文化がアメリカほかにあまり存在しないので、日本のお寿司(海苔巻きや軍艦巻きほか)からのステップアップとして、まず「カリフォルニアロール」等を踏む類型が知られていますが、海外ではもうひとつ、「魚を生身のまま食べる文化があまり存在しない」ため(国によって異なる)、ここは日本と韓国とでは事情が違うところです(韓国でも使うところはある)。ただ、この映画を「キンパの(日本、台湾など近辺国以外の)宣伝映画」というように解するのは無理があるんじゃないかな…と思います。

 そうするとまさか先に述べた「韓国語の学習マテリアルとしての一環か?」というのもそれも考えにくく、消去法的に日本でいうインディーズ映画の韓国版のそれなのでは…という気がします。ただ、日本で見る分にはやはりどこの国であっても「文化の違いの吸収」という観点が入るために真の意味で「チープだなぁ」と思えるような(日本映画以外の)インディーズ映画は存在しにくく、仮にこの映画がその枠で作られていても、そこまでは感じにくいところです。

 採点に関しては一応気にしたのが以下のところです。

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 (減点0.2/TOEICのスコアに有効期限があるのか)

 韓国は日本をあげてTOEICが盛んな国…というか、そもそもTOEIC自体が「国際」をうたっておきながら、事実上日本と韓国とでしか実施されていないヘンテコな試験であるのは事実ですが(この点、アイエルツほかと決定的に異なる)、「期限がある」のは、スコアシートの再発行期限が「2年」であり、スコア自体は生涯有効なものです(もちろん、就職試験ほかで期限を区切ることは妨げられないが、日本では同じように英語系資格として知られる英検で通常「期限」を問われないのにTOEICだけなぜかそれが言われるのもヘンテコ)。

 ※ なお、日本・韓国のどちらも(ほかの国は不明だが、上述通りこの試験は「国際」とありながら2国でしか事実上運営されていない)、2024年現在では試験を受けるにあたってアカウントを作成し、試験結果も先にそちらに掲載されますので、現在では「再発行も何もその論点が存在しない」(IDやパスワードを忘れても復旧は可能)のです。
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yukispica