劇場公開日 2024年2月9日

瞳をとじてのレビュー・感想・評価

全88件中、41~60件目を表示

3.5今でも映画は奇跡を起こせるか

2024年2月20日
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鑑賞方法:映画館

ビクトル・エリセ監督の久々の長編作品。「ミツバチのささやき」の日本公開から約40年、前作「マルメロの陽光」からも約30年たち、突然の新作発表ということで、まず驚いた。忘れていた懐かしい名前を思い起こされたような感じ。
冒頭の映画内映画から、屋内の二人での会話シーンが静かにゆったりと続き、つい眠気に襲われる。含意のあるセリフが続くが、ところどころ聞き飛ばしてしまった。しかし、後半、探していた友人らしき人物がいると知らせが入ってからは、一気にサスペンスフルになり、登場人物の一言一言、ふるまいの一つ一つに目と耳を集中させるようになる。
編集者のマックスが「ドライヤーが死んでから、映画の奇跡はなくなった」といったことを言うが、ラストの映画館のシーンは、ゴダールの「女と男のいる舗道」でアンナ・カリーナがドライヤーの「裁かるるジャンヌ」を観ながら涙する、あの有名なシーンを思い起こさせる。
今、この時代でも映画は奇跡を起こすことはできるのだろうか。エリセ監督は、この作品でそう問いかけている気がする。しかし、この作品にアナ・トレントが出演し、あの決定的な一言を口にするということも、十分に奇跡的なことだと素直に思える。
ただ、前半の冗長さと後半のやや性急なところをうまく中和させて、作品全体として調和したトーンになっていれば、大傑作となっていただろうに、と残念な気持ちもある。

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山の手ロック

3.5またこれもある意味未完なのか

2024年2月20日
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鑑賞方法:映画館

エリセの新作
映画館で観れる
アナが出る

震えた

映像詩人の作品は感想が出そうで出ない

理屈は無くただ好き
でも全作品観てるわけでもない
私的オールタイムベストNo.3の『ミツバチのささやき』
『エル・スール』(エンディングに物足りなさを感じてたら未完だったと後で知る)
『マルメロの陽光』(冒頭数分で挫折してそれきり)
『ライフライン』(チクタクチクタク 良い)

海辺の村に帰ったシーンで右に画面がスライドする場面
デジャブ感があった
あぁ自転車で駅についてホームで待つシーンの手法だと家についてから気付く

エリセは今までの自身の中で叶わなかった創造の産物を集大成させたように思う
そしてアナを“5歳のアナ”に引き戻して、少しでも時間を取り戻してあげようとしたのかなと思う

オマージュで覆いつくす晩年になってのクリエイト作品は郷愁をもたらすけれど
正直それは私の求めているところではない
でも今の御年で出来うる限りの
一つの長編作品を生み出した
ただエリセ本人が本当にこの物語で満足しているのか問いたくなる感じだった

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Ray

3.5ロードムービーのようなミステリーのような…

2024年2月19日
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鑑賞方法:映画館

俳優が失踪し映画が未完になり
その俳優の行方を追うサスペンスのようなミステリーのような映画。

行方を追う過程でスリリングさというのは
あまり強く感じず
穏やかに思い出をたぐるように行方を追っていく感じが心地よく
世界観に入り込みやすかった。

自然と、登場人物たちと一緒に俳優の姿を追っているような感覚になった。

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nana

4.0人生後半の旅路

2024年2月19日
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鑑賞方法:映画館

とてもいい。/それにしても、終わりの余韻よ。カウリスマキ『枯れ葉』とかもそうだが、老境に差し掛かった映画監督が人生を振り返って作る作品の美しさと言ったら。/劇中劇の奇妙さは、人生そのもののチグハグさ(多くの人はそうよね)の象徴か。

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ouosou

4.5ひとつの映画という時の流れにシンクロする神秘体験

2024年2月19日
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鑑賞方法:映画館

この日のために、今日は何も予定を入れず、一日二人で過ごしました。
二人で旅した神島にて何かを暗示するかのような神秘体験があり、その翌年に金神社にて結婚し、新婚旅行は久高島へ。
以来、28年の歳月という記念日に、わたしたちの思春期である学生時代の頃に一生の思い出となる映画を同時体験しており、そのひとつが #ミツバチのささやき だ。
そして、今日、そのビクトルエリセ監督の新作 #瞳をとじて をこの日に観ようとなった。
内容はよく知らないまま観たけど、当然映画は映画としてよかったことはもちろんのこと。
わたしたち二人にとって、やはりこの監督とアナトレントも、同じ時を経ており、そうした時間的な距離感、同時代体験など、日本とスペインという地理的距離感もゼロで、シンクロしまくったのでした。
舞台も、わたしたちが局面している高齢者介護施設だったり、親と子の特別な想いや感情、時代の流れ、すべてが重なる。
それをまた、映画を通じて深く体験させられました。
その後、実家へ寄り、金神社へご挨拶しに。
旧正月以来の初詣として、おみくじもここで初めてひきました。
新しい一年、どうぞよろしくお願いします、と。

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fuhgetsu

4.0ビクトル・エリセ「瞳をとじて」至福の169分でした。退屈するところ...

2024年2月18日
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ビクトル・エリセ「瞳をとじて」至福の169分でした。退屈するところなんて全くないです。ただ劇中映画のラストは好きじゃなかったな。

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ピンボール

5.0色々考えさせられた作品

2024年2月18日
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鑑賞方法:映画館

知的

難しい

寝られる

ビクトル・エリセ作品は初見だが、初見でも過去作品のキーワードがシーンごとに出てくるので問題ない。
こんな作品もありなんだと唸らされたし考えさせられた。素晴らしい作品を観る事が出来感謝。
ただ、時間はやはり長いし、30年前に公開した時の世界と今の世界は違う。ビクトル・エリセには今何を伝えたかったのかラストにメッセージを残して欲しかった。垣間見る事はできなかったのは残念。
2024年ベスト洋画作品にはあがるだろうし、私は候補に入れたい。
人生と老いについても考えさせられた作品でも
ある。

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ナベウーロンティー

4.0カルテの記録が人生のすべてじゃない

2024年2月18日
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鑑賞方法:映画館

すべてに余韻を残す描写。

観るものに、想像させる感じ。

完成しなかった作品だったのではなかったか?
どこが完成なのかは、わからないけれど、とにかくハテナが多すぎる(笑)

わたしだけ?

かなり長時間に感じるので、時間の余裕、大事かも。

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ミツバチば~や

3.5終盤の急展開以外は画面に引き込まれました。同じ仕事やっていると飽き...

2024年2月17日
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鑑賞方法:映画館

終盤の急展開以外は画面に引き込まれました。同じ仕事やっていると飽きてくるアナの気持ちはとても共感できます。

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Mr. Planty

5.0劇中映画「別れのまなざし」

2024年2月17日
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鑑賞方法:映画館

興奮

知的

幸せ

瞳をとじて
神戸市内にある映画館「シネ・リーブル神戸」にて鑑賞 2024年2月13日(火)

スペイン生まれの映画監督、ピクトル・エリセの31年ぶりの長編映画「瞳をとじて」

背景
劇中映画「別れのまなざし」は1947年という時代設定。
スペイン内戦(1936年-1939年)で台頭、軍人フランシスコ・フランコによる独裁政治となっていた。政治的抑圧、閉鎖経済政策がおこなわれ国民は困窮した。本作は内戦後の混乱が続いているスペイン社会を描いている。
「ミツバチのささやき」に当時5歳で主演に抜擢されたアナ・トレントが、50年ぶりに同じく“アナ”の名前を持つ女性で出演したことも話題に。
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ストーリー

劇中映画「別れのまなざし」 冒頭部分
邸宅「悲しみの王(トリスト・ル・ロワ)」にはヤヌス像があり、ユダヤ人ミスター・レヴィ(Mr. Levy)とフェランが住んでいる。
フランク(フリオ・アレナス(ホセ・コロナド))を呼んだ。フェランは高齢となり、行方不明となった娘ジュディスを探して連れてきてほしいと依頼する。
今は母と共に上海に住んでいて「チャオ・シュー」と名乗っている。写真を差し出すと扇子を使って視線を強調する舞踊のポーズ「上海ジェスチャー」をしている。
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劇中映画「別れのまなざし」の撮影中に、主演俳優フリオ・アレナス(ホセ・コロナド)が失踪した。当時警察は、近くの崖に靴がそろえられていたことから投身自殺と断定。結局、遺体が発見されることはなかった。22年が過ぎたある日、元映画監督でフリオの親友でもあったミゲル・ガライ(マノロ・ソロ)は、事件の謎を追うテレビ番組「未解決事件」の出演依頼を受ける。
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番組プロデューサーのマルタ・ソリアーノ(エレナ・ミケル)はミゲルに取材する。
海軍の兵役で出会った、マドリードで再会した。若いころの二人の写真がある。フリオが好きなポジションは、ゴールキーパー。彼と私は第2級の受刑者でした。
逮捕の理由は?「治安紊乱罪と、扇動罪および不法集会罪です。当時のよくある罪状だ。フリオは無関係だったが、私と同居していたので連行された。」
マルタはフリオの娘、アナ・トレント(アナ・アレナス)に取材を申し込んだが断られてしまったと言い、アナの電話番号をミゲルに通知。
アナはミゲルと喫茶店で再会「父が生きてる夢を何度か見た。」
番組の終了後、「フリオによく似た男が海辺の施設にいる」という思わぬ情報が寄せられる。「未解決事件」を見たと、ベレン・グラナドス(マリア・レオン)から、プロデューサーのマルタへ連絡があった。ベレンはとある老人介護施設に勤務している女性だった。
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深夜バスに乗ったミゲル。とある海辺に面する老人介護施設に向かう。
それらしき男がいるという。修道女シスター・コンスエロ(ペトラ・マルティネス)は、行き倒れた男を「ガルデル」と名ずける。よくタンゴを歌っていることから。

確かにその男はフリオのようだ。ただフリオは、記憶喪失の状態であることがわかった。
ミゲルはしばらくこの施設に滞在することにし、施設のシスターたちも合意。二人だけの時間となった。
ガルデルが、古いタンゴの曲を口ずさむと、ミゲルはその続きを口ずさむ。ガルデルは喜んだ。
ペンキ塗りの仕事があると、ミゲルはそれを手伝った。
水兵時代に習ったロープの結び方をやってみせると、ガルデルもそれはできる。
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そんなある日、ミゲルはアナを再び呼び寄せて、父であるフリオが寝ている部屋へひとりで向せる。シスターたちとミゲル、ベレンはそっと見守っている
「私はアナよ」・・・「私はアナよ」・・・ 記憶が戻らず返答はない。
静かにそう言うのが精いっぱいであった。

ミゲルにはひとつの案があった。「別れのまなざし」の後半を上映しようと企て、記憶が戻るのではないかと仮説
マドリードに戻りたいというアナを引き留める目的もあった。
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保管している親友マックス・ロカ(マリオ・パルド)に連絡し、「別れのまなざし」のフィルムを送ってもらう。
施設の近くに、最近閉館された映画館があり、そこで上映されることになった。

映画館の支配人はアナとガリデルは最前列の席に並んで座るようにしたのは「親子」の関係だからである。
シスター二人、ベレンとマルタが後ろ座席に並んで座った。

そうして「別れのまなざし」(後半)が始まったのである。

邸宅「悲しみの王(トリスト・ル・ロワ)」に向かうフランクとジュディス(チャオ・シュー)をフェランに見せるためである。
フェランは面会を果たすことができたのだがフェランは病で瀕死の状態
フェランは布切れを取り出し、花瓶の水を使い湿らせて、娘のチャオ・シューの顔を拭う。化粧が剥がれる。素顔が見たいんだろう。

そこで倒れてしまい、死んでしまう。父は目を開いたままであったが、チャオ・シューはやさしく父の顔に手を当て、目を閉じた。
あまりにもかなしいフランクとチャオ・シューがそこにいる

「別れのまなざし」上映終了
「瞳をとじて」上映終了
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感想

スペインの映画 ピクトル・エリセ監督の作品「みつばちのささやき」「エル・スール」
楽しませてもらえたことに心から感謝します。

ムーチャスグラシアス! 大岸弦

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大岸弦

3.0上海ジェスチャー

2024年2月17日
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鑑賞方法:映画館

「記憶」の物語だった。
「記憶」をたどり親友を探す作家(監督)、「記憶」を無くした俳優、父親によい「記憶」のない娘、人々の「記憶」を呼び起こそうとするキャスター、「記憶」は大切だが想いを持って生きていると熱く語るドクター、映像の「記憶」をフィルムと残す編集者、これから新しい「記憶」を作っていく夫婦、昔の「記憶」を頼りに人探しを依頼する王…その「記憶」が治ったフィルムが上映されることで、過去の「記憶」から未来の「記憶」へと繋がっていく。そんなことを感じながら、瞳を閉じず鑑賞しました(๑˃̵ᴗ˂̵)雨のシーンが多かったのには何か…

①L-10

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shige12

5.0映画愛!

2024年2月16日
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鑑賞方法:映画館

今年はウディ・アレンの「サンセバスチャンへようこそ」もそうだったが、老境の映画監督が「映画愛」を全面に描いて、さらに自らの人生の再検討をしている作品に出合う年のようだ。本作も、エリセ監督の「もうひとつの可能性ある自らの人生と映画についての決着」を描いたように思える。
物語は、失踪した友人でもある俳優フリオを探すミゲル監督のロードムービー的な、仕立て。しかし、31年も映画監督としてのブランク、さらにデビュー作のヒロインだったアナ・トレントが、「ミツバチのささやき」の役名と同じアナとして出演するという、スクリーンに描かれる虚構が現実と合わせ鏡のようになっている。
さまざまな名作映画への目配せやオマージュ、そしてデジタルなんかじゃなくて「フィルムであることが必須」という思い。閉鎖したフィルム上映の映画館でのクライマックス。エリセ監督の「映画の葬送」に思えてならない。

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t2law

3.0エリセ監督の復讐?

2024年2月15日
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鑑賞方法:映画館

寝られる

前情報なく鑑賞したもので、オープニングからの流れは「映画館間違えたのかな?」と確認してしまいました。
本作は約3時間と冗長で、無駄な情報も多く、前半あそこまで長回し使って後半そんなに端折るか?など疑問符もつく出来栄えです。でも、それは人生も同じ。無駄なことや、間違いがあって味わい深くなるものです。映画を愛するものとして、どんな映画にも寄り添っていきたい。ポジティブに観たいと思っています。
前半の薄暗いイメージから後半のスペインの海沿いの風景が目が眩むようで良かったです。トマトを紡ぎながら、魚を採り、犬と暮らし、音楽とともに眠る主人公は羨ましい。演じている方も、相応のお歳ながらセクシーな演技でした!
エンディング、ちゃんと語らないのはエルスール未完になってしまった監督の世間への復讐かな?と思ったり思わなかったり。
長い映画でしたが、味わい深い人生のようで、観て良かったです。

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濁河さかな

3.0映画への思慕

2024年2月14日
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鑑賞方法:映画館

難しい

ビクトル・エリセにはフリオのモデルとなる同士がいたのでしょうか。それともフリオはあの埃をかぶったフィルム映画そのもの?監督が過去に対して何かしらの懺悔とお別れをしている様にも感じました。また、アナログ映画の想いも詰まっていました。冗長なので好みが分かれる作品です。

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ミカ

3.0欧州映画らしい

2024年2月14日
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鑑賞方法:映画館

寝られる

作品紹介を読んで、男の失踪を追うミステリー要素のありそうな展開に興味を引かれて観賞。

でもちょっと違った・・・

【物語】
舞台は1900年代のスペイン。
マドリードのあるTV局の“未解決事件”を取り上げる番組で、22年前に映画撮影中に主演俳優が突然姿を消した事件を取り上げる。

その映画の監督であり、いなくなった人気俳優フリオ・アレナス(ホセ・コロナド)とは戦友の関係でもあるミゲル(マノロ・ソロ)が番組制作者に呼ばれる。ミゲルは取材に協力し、番組に出演し、フリオと過ごした青春時代と自らの半生を振り返る。

番組の終了後、「フリオによく似た男が老人施設にいる」という情報が寄せられ、ミゲルはすぐに駆け付ける。

【感想】
全体を通じて言えるのは、欧州映画らしい、情緒感溢れる作品であること。
ただ前半は、(これも欧州映画に良くあるパターンだが)延々と登場人物2人が同じ場所で話し続ける会話劇。これが、どうも俺は苦手で段々息苦しくなってしまうし、今回はこちらのコンディションが良くなかったこともあって、ウトウト・・・

後半、フリオの噂を聞いたミゲルが施設に駆け付けるところから急に物語が動き出して、やっとスクリーンに入り込むことができた。

作品紹介などを読んでミステリー作品的な展開? と思ってしまったが、 そういう作品ではなかった。本作はスペイン映画だけど、フランス映画とか好きな方にはスンナリ入って行ける作品だと思う。

逆にハリウッド映画のような刺激強めの作品をお好みの方には向かないかな。

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泣き虫オヤジ

5.0期待度◎鑑賞後の満足度◎ これは『映画』『記憶』『人生』「生きてきたこと」「老いること」「忘れること」を綴った豊穣な映画。

2024年2月14日
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鑑賞方法:映画館

※2024.04.01. 2回目の鑑賞。【ユナイテッド・シネマ橿原】
やっぱり1回目の鑑賞の時はこの映画を充分に理解していませんでしたね(今は理解出来ていると言い切れる自信は勿論ありませんけれども)。
だから下記のようなよう分からんレビューを書いてる…

《「記憶」と「映画」。『ドライヤーが死んだ後は映画で奇跡は起こらない』というマックスの台詞…そしてラストシーンのその先…
①【ヤヌス像】
冒頭から映し出されるのがこの像。ギリシャ神話の時間の神で、前後を向く二面像。一つの顔は過去を向き、もう一つの顔は未来に向いており、物事の始まりと終わりを見据えている。

②個人的には、本作においてはストーリーを追うという映画の見方は余り意味がないと思う。冒頭は何がどうなっているのか少し混乱するし(ラストに至って意味が分かるけれども)、映画中映画も余り面白い話ではなさそう。

③『映画』というものを描いた映画だろう。
また、記憶を繋ぐものとしての映画…”現代“の映画も突然現代になって今の形になったものではなく、過去の「映画」の記憶を繋いでいく延長線上にある…これからの映画も恐らく…

ラストシーンはあれ以外には考えられないな…

“「映画」は観るもの”…なのに『瞳を閉じる』
という意味深な原題に込められた想い…
★★★★》

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もーさん

3.0私には合いませんでした

2024年2月14日
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何か月も前から楽しみにしていた今作でしたが、私には残念ながら合いませんでした。
老いや過去、記憶の喪失に対する考え方に違和感がありました。
大変良かったとおっしゃる方が多く、うらやましいような、悲しいような…まぁ仕方ありません。

設定も、若人あきらさん→我修院達也さんのように、人気俳優なら顔も知られているし、生きていればすぐに見つかると思うのです。その辺りが許容できませんでした。

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ほりもぐ

4.5役者の顔にズームしていかず、ショットの切り替えでアップにしていく技...

2024年2月14日
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役者の顔にズームしていかず、ショットの切り替えでアップにしていく技法に引き込まれる。
同じ映画でも自宅で観るより映画館で観る方が評価が上がると感じる人は多いのではないだろうか? 私は顕著にそれがある。そしてこの映画は特にそれに当てはまる。冒頭から引き込まれっぱなしだ。
出来るだけ映画館で観たいと思う個人的3つの理由が
1.一時停止も巻き戻しも出来ない状況に体調を整えて着座し 映画に向き合う事で作品価値が上がった様に感じる事
2.自宅では不可能な大画面、大音響で観れる迫力と臨場感が得られる事
3.待ってられない
と3つあるが、今作はやはり1番目である。
ビクトル・エリセの前の作品達とある要素が凄く似ていて、全く違うストーリー展開である。知っとくべきは監督の名前とアナ・トレントが出演する事だけでチラシに記載のストーリーすら事前に調べずに鑑賞したかった。だから内容は語りません。
エリセ監督作を2本観れたお得な気分。

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ナイン・わんわん

4.0人生における喪失を抱え追い求める

2024年2月14日
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鑑賞方法:映画館

始めは映画のテンポに馴染めなかったが、丁寧な描写こそ良いと感じてから、ゆったりとした時の流れに身を委ねる
解決を示さない結末も余韻が納得いく
大人になったアナに会ってしまっていいのかという戸惑いと、自身の老いに震えた

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すぅ

4.5失われた二人の人生と記憶が紡いだものとは

2024年2月13日
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鑑賞方法:映画館

失踪した人気俳優を巡るミステリー!ではない
 完成間近だった映画撮影中に突然失踪したフリン。それがきっかけで監督を辞めて作家や翻訳家としてその後の22年間を生きてきたミゲルに舞い込んだ未解決事件を扱うテレビ番組の収録。ミゲルの中で止まっていた時間が動き出す。それでも事件にかくされた陰謀を明かすかのような素振りを見せるのはほんのしばらくで、誰も死んでいないし、誰も殴られない。

3時間の長編映画
 長い映画だ。そして見た直後にははっきりしない結末にストレスが残る。でもなぜか後からわかってくる。映画が展開するテンポはゆっくりだ。それがために目に焼き付けられた登場人物が見せた様々な表情が甦り、この映画の伝えたかったものをじわりじわりと伝えてくれた。

掘り返される過去がミゲルに与えるもの
 腑に落ちない過去に思い掛け無い形で向き合うことになったミゲルは、フリンの消息を掴もうと過去の人間関係に再び向き合う。そうして出会う人々もまたそれぞれがフリンに対する想いがある。それは語られる言葉だけでなく行動や表情という形で表現される。浮世離れしたような生活をしていたミゲルも、ミゲルに接する人々も淡々としているようでどこか優しい。それぞれが22年もの長い時間のなかでフリンのいない人生を築いてきた。いろんな関わり方でフリンと関係した人々に再会するミゲルは淡々としているようで何か心地良さを感じているかにも見える。

心の中の人生の記録とは
 誰もが人生の記録を心に刻む。それを思い出と言ったり記憶と表現したりする。思い出は美化されると言う人もいるが、そのなかには決して美化されない誰もが忘れたい、閉じ込めたいものを持つ。それでもその記憶の中でも関わった人たちがいて今もどこかで生きていている。何も思い出を雄弁に語る必要なんかない。寄り添い合って生きていくだけで価値がある、そんなメッセージが届いた気がした。

全文はブログ「地政学への知性」で

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