コラム:清水節のメディア・シンクタンク - 第7回

2014年4月30日更新

清水節のメディア・シンクタンク

第7回:東京初上陸の平和島4DXで、「アメイジング・スパイダーマン2」に“いたぶられる”!

熱狂的なリピーターも生まれているという「4DX」が、東京にやってきた。4月25日、「アメイジング・スパイダーマン2」公開に合わせ、競艇場そばのシネコン「シネマサンシャイン平和島」に導入されたのだ。なお同日、すでに昨年から中川(名古屋)と小倉(福岡)で4DXを稼働させている「コロナワールド」は、福山(広島)にもオープン。これで国内の4DXは、計4スクリーンになった。

4DXとは、韓国企業CJグループの子会社CJ 4D PLEX社が開発した体感型の劇場上映設備だ。同社は、2009年から現在までに23カ国98館に導入。“3Dのその先”を志向して「“観る”から“体感する”へ」をコンセプトに、シーンに合わせ【ムービングシート】【エアー】【ミスト】【雨】【風】【煙】【フラッシュ】【バブル】【香り】の9つの機能を楽しめるシアターシステムを開発した。平和島に導入された機種は、先行する中川と小倉とは若干異なる(福山と同じ)。新バージョンは、座席の動きがよりなめらかになり、やや気になるという声もあった駆動音がセーブされた。また、これまでの機能は8種だったが、ミスト噴射を上に向けることで雨の効果も可能にした。

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東日本初上陸となるシネマサンシャイン平和島では、同劇場旧シネマ2(236席)の全座席を取り外す大規模な工事を行い、全128席の4DXシアターへ改装した。スクリーンは縦5m×横12m、スピーカーはデジタル6ch。料金は、通常料金+1000円。3D(XPAND採用)の場合はメガネ代として400円加算されるので、大人は通常料金1800円+3D代400円+4DX代1000円=合計3200円になる。テーマパークの一部アトラクション同様、身長100cm以下の子供や10歳以下の子供(保護者同伴の場合は可)、妊婦、高齢者、心臓や首に障害がある人、身体的精神的に敏感な人、車に酔いやすい人は鑑賞しないよう、劇場側では注意喚起しているので、予めご留意を。

では、一体どれほどのものなのか。内覧会で機能説明は受けたものの、4DX映画初体験となる筆者が、「アメイジング・スパイダーマン2」3D吹替版に挑んだ。まずは、ロビーでの待ち時間に流れてくる場内アナウンスが、期待値を高める。「上映中のご飲食は責任を負いかねますのでご了承ください。上映開始前に飲食物は回収させていただきます」。思う存分味わうため、シアター入り口脇に備え付けられている専用ロッカーにバッグを預けることにした。予約した席は前から2列目のセンター通路寄り、B-9。座席はすでに浮き上がったかのようにやや高め。腰を浮かせるようにしてシートに乗り込み、フットレストに足を投げ出せば、もう、まな板の鯉だ。

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改装前から客席数が半分になったのは無理もない。1席当たりに割くスペースが広い。それだけ動くという意味だ。座席は4席1セットで稼働、並んだ4人が運命共同体となる。もちろんカップルなら、同じセットに乗ろう。座席脚部の構造はベールに包まれているが、この土台が前後・左右・上下の全方向に動く。シートのヘッドレストには穴があり、頬や耳の辺りにエアーが噴射される仕組みだ。前の座席の背面には、エアーとミストの噴射装置もある。肘掛け右側のドリンクホルダーには、ミストのON/OFFボタンが付いていて、化粧崩れなどが気になる女性への配慮もなされている。そんな仕掛けをチェックしていると、劇場係員が観客1人1人をチェックして回っている。バッグを場内に持ち込んだ人に、フットレストと前の座席に間の床に置くよう指示し、貴重品が入っている場合は膝の上でしっかり押さえているよう促していた。事故を未然に防ぐための入念なチェックは、まさにテーマパークのアトラクション並みだ。

>>次のページ:上映開始! 4DXの効果のほどは? 

筆者紹介

清水節のコラム

清水節(しみず・たかし)。1962年東京都生まれ。編集者・映画評論家・映画ジャーナリスト・クリエイティブディレクター。日藝映画学科中退後、映像制作会社や編プロ等を経て編集・文筆業。映画誌「PREMIERE」やSF映画誌「STARLOG」等で編集執筆。海外TVシリーズ「GALACTICA/ギャラクティカ」日本上陸を働きかけ、DVD企画制作。著書に「いつかギラギラする日/角川春樹の映画革命」、新潮新書「スター・ウォーズ学」(共著) 。WOWOWのノンフィクション番組「撮影監督ハリー三村のヒロシマ」企画制作でギャラクシー賞、民放連賞最優秀賞、国際エミー賞受賞。

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