深海SFサスペンス「THE SWARM/ザ・スウォーム」プロデューサーが語る舞台裏 木村拓哉のエピソードも「本当のプロフェッショナル」

2023年2月24日 09:00


プロデューサーのフランク・ドルジャー
プロデューサーのフランク・ドルジャー

ゲーム・オブ・スローンズ」のプロデューサーで知られるフランク・ドルジャーが製作総指揮を務める大型国際ドラマ「THE SWARM/ザ・スウォーム」が、3月4日からHuluで独占配信される。日本からは海外ドラマ初出演となる木村拓哉が参加し、配信前から注目を集めている本作について、ドルジャーに話を聞いた。

クジラやシャチが人間を襲い、ロブスターによる謎の感染症が蔓延するなど、世界中の海で突如不可解な現象が巻き起こる中、異変にいち早く気づいた各国の研究者たちが全容解明に挑むさまを描く。

アレクサンダー・カリム(「ゼロ・ダーク・サーティ」)をはじめ、セシル・ドゥ・フランス(「スパニッシュ・アパートメント」)、レオニー・ベネシュ(ドラマ「ザ・クラウン」)、ジョシュア・オジック、バルバラ・スコバ(「アトミック・ブロンド」)、シャロン・ダンカン=ブルースター(「DUNE デューン 砂の惑星」)らが出演。木村は、日本人の慈善家で海洋問題に取り組む“ミフネ財団”の創始者アイト・ミフネを演じている。

■名プロデューサーに聞く、“いいドラマ”を作るためのこだわり

原作は、2004年にドイツで発表されたベストセラー小説「深海のYrr(原題:Der Schwarm)」。ドルジャーは「今になって改めて読むと、20年前に書かれたと思えないぐらい、まるで今日起きていることを予期していたかのような内容に本当に驚いたんです」と明かし、「現在は温暖化など、自然環境に関する様々な事実をベースにしたドキュメンタリーや作品が多数作られていますが、私は、キャラクターが牽引するエモーショナルなドラマによって環境問題を掘り下げられないか、そうすればドキュメンタリーなどを見飽きてしまっていて、『環境問題についてはもう十分に知っているよ』と思っている人にも響く作品になるのではないかと思いました」と、原作に惹かれた理由を説明する。

ゲーム・オブ・スローンズ」という人気シリーズを手掛けてきたドルジャーは「毎回新しい作品に取り掛かる時は、新しい視点をもってアプローチしなければいけません。作品を作る上では常に色々な選択をすることと、その選択の基盤となる中心的なアイデアをしっかりと定義することが最も大事だと考えています」と、ドラマ作りにおける自身のこだわりを明かす。

本作の場合は「900ページもの小説をエンターテインメントとして、エモーショナルなドラマにするためには、モンスターを最初から見せたくありませんでした」と振り返り、「ほとんどサメが出てこないスピルバーグの『ジョーズ』のように、最後に全貌が明かされる。しかもそれはキャラクターの経験を通して、初めて姿を現すという形をとっています。ただ、モンスターが姿を現さないので、その存在感をどのように維持するのか、生き生きと感じさせるのかというのは挑戦の一つでした。姿を見せないまま、いかにサスペンス、ミステリーを作っていくかというのが、今回のクリエイティブに関する選択の基盤となっています」と語る。

木村拓哉の俳優としての魅力 感心したエピソードも

人類の危機に立ち向かい、海洋問題に取り組むミフネを演じた木村については「ハッとさせられた部分が3つあります」と俳優としての魅力を紹介する。

「1つ目は、年齢を重ねていて大人の成熟した権威を表現できる感性、2つ目は知性が感じられること、最後にスクリーン上の存在感でした。木村拓哉さん演じるアイト・ミフネは原作の後半で非常に重要な役割を果たす米軍総司令官ジュディス・リーを木村さんのイメージに合わせて作り変えたキャラクターです。一緒にお仕事をさせていただいて、とても素晴らしかったです。撮影はとてもスピーディーに進行していき、複雑なシーンもあったのですが、見事に演じ切ってくださいました。他のキャストともとても良いバランスでしたし、演技も見ごたえのあるものとなっています。特に最後の2話では、物語を1つにまとめてくれるとても重要な役割を担っています。彼のためにミフネというキャラクターを作ることができて本当に良かったです」

撮影中には、木村の人柄が伝わってくるエピソードもあった。

「ミフネのオフィスの撮影シーンでの出来事です。2日間かけて色々なシーンの撮影をしたのですが、ビデオ通話をしているシーンや、グリーンバックで背景を変えるなど、様々なことをしなければなりませんでした。撮影現場から離れた場所に木村さんの控室を用意していたのですが、撮影後に彼が控室に行ってから5分後くらいにすぐ撮影現場に戻ってきて、『控室を用意してくれるのはとても感謝しているけど、行ったり来たりする時間がもったいないから、撮影場所にスペースを用意してくれればそこでメイク直しや着替えをするよ』と言ってくれたんです。セットの角の方に椅子を置いて、カーテンをかけてスペースを作り、そこでメイク直しや着替えをしてくれたので、通常は移動も含めて30分かかる所を5分で衣装替えができるようになりました」

続けて、「そのおかげで色々なアングルで撮影ができたし、監督と共に演技を深めていくことができました。普段、大スターとお仕事をしている自分の経験からすると、作品や演技がどうこうというよりも、自分がどう扱われるかの方が大事、という方は結構いらっしゃいますが、木村さんは全くそうではありませんでした。自分がやりやすい環境にこだわるのではなくて、時間を無駄にせず、より良い作品を作りたいという思いからそういったことを仰ってくださり、これが本当のプロフェッショナルだなと感心しました」と絶賛している。

Huluオリジナル「THE SWARM/ザ・スウォーム」(全8話)は3月4日からHuluで独占配信。

■「THE SWARM/ザ・スウォーム」作品概要

製作総指揮:フランク・ドルジャー(「ゲーム・オブ・スローンズ」(2011~19))
監督:バーバラ・イーダー(「バーバリアンズ -若き野望のさだめ-」(20)
「Thank You For Bombing(原題)」(15))
ルーク・ワトソン(「Britannia(原題)」(18)「リッパー・ストリート」(12~16))
原作:「THE SWARM」フランク・シェッツィング著
脚本:スティーヴ・ラリー(エミー賞ノミネート作品「ストライクバック」(10~20))
マリッサ・レストラード(「ディープ・ステート」(18~))
制作:インタグリオ・フィルムズ、ndFインターナショナル・プロダクション

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