16人の犠牲者を出した、イランの売春婦連続殺人事件を描く 「ボーダー 二つの世界」監督最新作、23年4月公開

2022年12月20日 18:00


売春婦連続殺人事件の犯人が、なぜか英雄視される…
売春婦連続殺人事件の犯人が、なぜか英雄視される…

ボーダー 二つの世界」のアリ・アッバシ監督の最新作で、ザーラ・アミール・エブラヒミが第75回カンヌ国際映画祭の女優賞を受賞した「Holy Spider(原題)」が、2023年4月に公開されることが決定。2000年から01年にかけて、イランで実際に起こった売春婦連続殺人事件から着想を得た衝撃の物語を紡ぐ。

題材となったのは、イランの聖地アシャドで16人もの犠牲者を出した、“スパイダー・キラー”と呼ばれたサイード・ハナイによる売春婦連続殺人事件。第71回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門でグランプリを受賞し、第91回アカデミー賞のスウェーデン代表にも選出された「ボーダー 二つの世界」でスリリングなファンタジーの世界を描いた、イラン出身で、デンマーク、スウェーデンで活躍するアッバシ監督が、メガホンをとった。

ジャーナリストのラヒミ(エブラヒミ)は、マシュハドを震撼させている売春婦連続殺人事件を追うため、現地に赴く。犠牲者が増え続けるなか、なぜか警察は捜査に消極的だった。性差別がまかり通る社会で、ラヒミは不条理な圧力と身の危険を感じながら、真相追求にのめり込む。そして遂にたどり着いた犯人は、意外にも敬虔で家庭的な男サイード(メフディ・バジェスタニ)だった。「社会の浄化」と信じて犯行を重ねていたサイードは、熱狂的な一部の市民から英雄視されていく。

ラヒミを演じたエブラヒミは、イランで女優として活躍していたが、08年にフランスへ亡命。その後はフランスの映像業界で活躍し、17年にフランス国籍を取得している。本作は第95回アカデミー賞のデンマーク代表に選ばれており、セビリア・ヨーロピアン映画祭(主演女優賞)、ストックホルム映画祭(作品賞、主演男優賞)など、受賞を重ねている。海外メディアからも、「鋭く、不穏、そして、心奪われる」(Observer)、「信じられないほど恐ろしい」(Toronto Star)、「ぞっとする」(Daily Telegraph UK)など、絶賛が相次いだ。

Holy Spider(原題)」は23年4月、東京の新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で順次公開。

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