浅野いにお「うみべの女の子」映画化 石川瑠華と青木柚が主演、繊細で残酷な少女少年の青春譚

2021年3月26日 11:00


石川瑠華と青木柚が主演
石川瑠華と青木柚が主演

ソラニン」「おやすみプンプン」「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」など大ヒット作を発表し、今年の第66回小学館漫画賞を受賞した漫画家・浅野いにお氏による傑作マンガ「うみべの女の子」の映画化が決定した。

浅野氏原作漫画の映画化は、「ソラニン」(三木孝浩監督/2010)に次ぐ、2作目。「うみべの女の子」は、緻密で叙情的な画風と繊細な心理描写に定評のある浅野いにお作品の中でも、特に「思春期」「恋」「性」といったセンシティブな題材に真正面から挑んだ作品として、ファンから根強い支持を得ている。

監督は、長編初監督作「リュウグウノツカイ」(14)が「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」で北海道知事賞を受賞し、以後も「桜ノ雨」(16)、「天使のいる図書館」(17)、「富美子の足」(18)などを手掛けた気鋭の映像ディレクター・ウエダアツシ。ウエダ自身もファンである浅野氏の世界観を忠実に受け継ぎつつ、少女と少年の複雑な心情を繊細に映像化した。

主人公の小梅役と磯辺役は、浅野氏も審査に参加したオーディションで選ばれた石川瑠華青木柚。石川は、2017年から演技のレッスンを始め「イソップの思うツボ」(19)で主演に抜擢され、今後も主演作「猿楽町で会いましょう」(6月2日公開)の公開が控えている。青木は、「14の夜」(16)、「アイスと雨音」(18)、「サクリファイス」(20)などで評価を高め、4月スタートのNHKよるドラ「きれいのくに」にも出演が決まっている。「恋」と「性」に悩み、もがく、思春期の少女と少年のリアルで複雑なキャラクターを期待の若手2人が繊細に体現する。

また、小梅の同級生、鹿島役は前田旺志郎、桂子役は中田青渚、三崎先輩役として倉悠貴など、期待の若手俳優陣が顔を揃え、磯辺の父役に村上淳。劇伴音楽は、「world‘s end girlfriend」が担当。挿入曲は、原作でも登場する、はっぴいえんどの「風をあつめて」がクライマックスを盛り上げる。

海辺の小さな街で暮らす中学生の小梅(石川)は、憧れの三崎先輩(倉)に手ひどく振られたショックから、かつて自分のことを好きだと言ってくれた内向的な同級生・磯辺(青木)と関係を持ってしまう。初めは興味本位だったが、何度も身体を重ねる二人。やがて、磯辺を恋愛対象とは見ていなかったはずの小梅は、徐々に磯辺への想いを募らせ、一方、小梅に恋焦がれていたはずの磯辺は、その関係を断ち切ろうとしてしまう。2人の気持ちはすれ違ったまま、磯辺は過去にイジメを苦に自殺した兄への贖罪から、ある行動に出る。

うみべの女の子」は、8月20日から東京・新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかで公開。浅野氏、ウエダ監督、石川、青木のコメントは以下の通り。

【原作者:浅野いにお

「小梅」と「磯辺」が確かにそこにいます。

より生々しく、より切実に。

10代の瞬きにノスタルジーを感じながらも、今現在の自分がその延長線上にいるということを再認識させてくれる作品でした。

そういえばいつだったか自分も、あの街の「小梅」であり「磯辺」だったのです。

ウエダアツシ監督】

およそ10年前、天才・浅野いにおの手で産み落とされた、濃厚濃密“青春の坩堝”のような傑作を、人との距離が少し遠くなってしまった今、映画化出来たことに運命を感じます。近くて遠く、自由で不自由、諦めているけど欲しかったあの頃。矛盾する感情の狭間で、性と愛に溺れ、過去と未来に縛られるふたり。この難題に若き才能、石川瑠華青木柚と共に誠実に向き合い、果敢に挑み、行き着いた答えがスクリーンには映っています。はっきり言って自信作です。残酷なまでに輝かしいふたりの青春を是非劇場でご覧ください。

石川瑠華

最初、浅野いにおさんの漫画「うみべの女の子」を映画化するというお話を聞いたとき、衝撃を受けました。

でも、これは可能性でもあり、この素晴らしい原作を映画で伝えられたら、もっと素晴らしいのではないかと思うようになり、オーディションに参加しました。

私自身、大好きな作品であり、小梅としてこの作品の中で生きた時間は本当に幸せでした。

同時にこれまで感じたことのない大好きだからこその怖さも感じていました。

ウエダアツシ監督とは初めてだったので何度も作品について話し合いました。

私は、監督が暖かく包み込むような優しさで小梅や磯辺はもちろん、この作品に出てくる登場人物、そしてこの作品を愛していることを感じました。

どんな恋愛映画や青春映画の型にもハマらないパワフルな映画になっていると思います。

是非、公開を楽しみにしていただけたら嬉しいです。

青木柚

今も尚多くの人に愛されている原作にこのような形で携わる事が出来るのはとても光栄であり、同時に不安でもありました。ですが磯辺という人間を知れば知るほど、その考え方や心情にどこか他人とは思えないようなシンパシーを感じ、何がなんでも磯辺を最後まで生き抜きたいと強く思うようになりました。浅野さんが描く生々しく繊細な世界、石川さんを通して伝わってくる小梅の葛藤、この原作を背負ったウエダ監督の思い、その全てが僕と磯辺を結びつけ、支えてくれました。多くの方々と共に心血を注いで取り組んだ作品です。

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