シーアの楽曲が導く母娘の再生 「シャンデリア」「Titanium」が彩る「サンドラの小さな家」本編映像

2021年3月24日 10:00


住む場所をなくした母娘が、自ら小さな家を建てる
住む場所をなくした母娘が、自ら小さな家を建てる

アイルランド・ダブリンを舞台に、住む場所をなくし、自ら小さな家を建てようとする母娘の“再生”を描く「サンドラの小さな家」。映画.comは、劇中で重要な役割を担うシーアの「シャンデリア」と「Titanium」が流れる本編映像を先行入手した。主演、脚本を担ったクレア・ダンは、「脚本の初稿段階から、シーアの曲をイメージしていました」と、シーアから受けた影響を語っている。

マンマ・ミーア!」シリーズのフィリダ・ロイド監督と、「ルーム」「女王陛下のお気に入り」を手掛けたエレメント・ピクチャーズのタッグ作。シングルマザーのサンドラ(ダン)は、ふたりの幼い子どもたちとともに、虐待を行う夫のもとから逃げ出す。しかし、公営住宅は希望者が多いために入居できず、ホテルでの仮住まいの生活から抜け出せない。ある日、サンドラは小さな家を自分で建てるというアイデアを思いつく。

本作の見どころは、劇中で使用されるバラエティに富んだ楽曲の数々。アイルランドを代表するバンド「クランベリーズ」の「Dreams」、米バンド「ザ・キラーズ」の「Run For Cover」などのロックナンバーに加え、多くのミュージシャンがカバーしているアイルランド民謡「Whiskey in the Jar」などがラインナップされている。また、アイルランドの小説家ジェームズ・ジョイスの「ダブリン市民」に登場することで有名なバラード「オーグリムの乙女」は、ダンが自ら歌い上げている。

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なかでも、シーアの大ヒット曲「シャンデリア」と、デビッド・ゲッタがシーアをフューチャリングした「Titanium」が印象的に使用されている。映画の冒頭で、サンドラは娘たちとともに「シャンデリア」を歌いながら踊る。ダンはシーアの曲を選んだ理由を問われ、「古い脚本では、サンドラが持っているiPodの中に、彼女を助けてくれるアンセム(応援歌)的な楽曲が入っていて、そのなかにシーアの曲が含まれているイメージでした。決定稿にその部分はないんですが、サンドラがサバイブするために聞く曲としてシーアをイメージしていました」と明かす。

シーアが薬物とアルコール依存症に苦しんでいた時期に作った曲と言われる「シャンデリア」。「ぶら下がってゆらゆら揺れるの、シャンデリアから。私はこれからも生きていく。明日なんてないかのように」(I'm gonna swing from the chandelier From the chandelier I’m gonna live like tomorrow doesn’t exist Like it doesn’t exist)と、サンドラが自身を鼓舞するように歌っていると、曲は突然夫に止められ、目を覆いたくなるような壮絶な暴力シーンへと続いていく。

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ダン「『シャンデリア』は、何かに対して愛を持ちつつも、すごく大きな怒りを表現している曲だと私は感じていました。愛と怒りを重ね合わせて一日一日を生き延びていっている。でも決して被害者じゃない、サバイバーなんです。それはサンドラにぴったりでした」

夫の暴力から逃れたサンドラと娘たちは、やがて自らの手で家を建てようと奮闘する。仲間たちに支えられた家づくりのシーンで、ほぼフルコーラスで流れるのが「Titanium」だ。「あなたが撃っても、私は倒れない。私はチタンだもの」(You shoot me down, but I won‘t fall I am titanium)という歌詞は、周囲からの優しさと自身の力で強くなっていくサンドラの姿と重なる。

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ダンは「シーアの曲にサンドラが助けられ、エネルギーを与えられています。彼女の世界が、まるで戦争の前線のような状態であっても、子どもたちと安全でいられる場所があって、子どもたちとともに聞く音楽であり、それを象徴する意味合いを持った曲としてイメージしていました」と、楽曲の重要性を強調。最後に「サンドラは人生を変えるために自分自身のヒーローになろうとしています。希望が欲しい人、人は立ち直れると信じたい人は是非見てください」と、力強いメッセージを寄せた。

サンドラの小さな家」は、4月2日から東京・新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開。

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