貫地谷しほり「夕陽のあと」の“産みの母親”役は苦悩の日々「毎日暗い気持ちでいた」

2019年11月9日 14:14

舞台挨拶に立った(左から)越川道夫監督、 貫地谷しほり、山田真歩
舞台挨拶に立った(左から)越川道夫監督、 貫地谷しほり、山田真歩

[映画.com ニュース] 女優の貫地谷しほりが11月9日、主演映画「夕陽のあと」の公開記念舞台挨拶を、共演の山田真歩越川道夫監督とともに東京・新宿のシネマカリテで行った。

生まれたばかりの子どもを置き去りにした過去を持つ“産みの親”という難しい役どころに挑んだ貫地谷は、見終わったばかりの観客を前に「皆さんにどう映っているのか、怖い部分もある」と神妙な面持ち。撮影中は、「一度失敗した人間にチャンスはないのかということがすごく大切だと思い、自分の価値観は置いておいていかに役と寄り添えるかを考えていた」という。

一方、その子どもとの養子縁組を目指す“育ての母”を演じた山田は、ロケ地の鹿児島・長島で生まれ育ったという設定のため、地元の漁師宅に泊まって十分な役づくり。「島を全部歩いてやろうと思って歩いていたら、前方から来たおばあちゃんにいきなりハグされて身の上話を20分くらい聞かされた。でも、だんだん親せきとしゃべっている気持ちになった」と明かした。

貫地谷も、「島に新メンバーが加わったと思ってうれしかったのでは」と推測。ただ、「毎日がつらくて、台本を読みながら暗い気持ちでいた。地元の方とコミュニケーションを取っている姿を見てうらやましかった」と本音を漏らした。

それでも、「この国は、失敗した人が再生するのが難しい世の中かもしれません。解決策を見つけるのも難しいかもしれませんが、隣に(自身が演じた役のような)人がいるかもしれないと思えたら違う景色が見られるかもしれません。私はそう感じたので、皆さんにも感じていただければ」としみじみ。越川監督も、「産みの親と育ての親という問題から、どうしたら外に出られるか、子どもの人生は子どものものということを考えながら撮った」と話した。

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