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◆2019/10/10更新
齊藤工&北村一輝、「TATAMI」に染み込ませた日本の怖さと人間性
齊藤工と北村一輝
  シンガポール映画界の巨匠エリック・クーが企画・製作総指揮を務め、ケーブル放送局HBOアジアが製作したホラーアンソロジー企画「フォークロア」で、日本代表に抜てきされた齊藤工監督と、主演を務めた北村一輝が、日本独自の建材「畳」を題材にした「フォークロア TATAMI」について語った。

  「フォークロア」は、アジア6カ国の監督が、各国特有の文化や社会に根差した伝承を題材にホラー作品を制作するオリジナルシリーズ。齊藤監督は、クー監督の「家族のレシピ」に主演したとき、自身の長編初監督作「blank13」を見せたことから本企画に起用され、初めてホラー作品を監督。映画業界に入る前から親交のある北村を主演に迎え、父の葬儀のため久々に戻った実家で家族の暗い過去に直面する男の物語で海外に挑んだ。

  ――海外企画への参加について

  齊藤「世界100以上の国で放送になるプロジェクトだと最初から聞いていたので、世界戦という意識が強かったです。11本目の監督作ですが、全部、国外でどう評価を受けるかを意識してきました。世界のクリエイティブに、しかもディレクターとして選んで頂いた第1弾なので、本当の意味でフィルムメーカーとしての1本目でもあるなと思っていました。『自分の未来を占う1作になるな』とはなんとなく思っていたので、すべてを込めました。世界に向けているのだけど、なぜメイド・イン・ジャパンなのかという理由は、やはり日本の方にとらえていただけるのではないかと思っています」

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  ――北村から見た監督・齊藤工の魅力

  北村「俳優の経験があるということは、演出するにあたり大事なことだと思いますね。現場で芝居を見て、その芝居で決められる。その場所での動きやその人間の感情にしっかりのっとった演出が芝居をする立場からみると一番大事な部分になりますので、あたりまえのようにしてくれたことがすごく大きかったですね」

  「あとはセンス。先ほど思いついたのは"静かな変態"という言葉ですけど(笑)。20年以上前からずっと同じで『この人は本当に何を考えているのだ』という独特の目線と、それを大事にして一つずつ経験していることが魅力になり、現場をまとめる力になっている。センスだけではやっぱり人はついていかないし、ものはつくれないと思う。みんなで力を合わせたいと思うような空気感を作れる監督がいて、本当に現場が一つにまとまっている。みんなが力を出したい、監督のためにどれだけできるかという空気感は、(ほかの現場だと)あるようで少ないですね。俳優である前に人間ですし、人間として仕事する上で一番大事なことをスムーズにやっていたなと思っています」

  ――齊藤から見た俳優・北村一輝の魅力

  齊藤「台本の最終段階をブラッシュアップして仕上げてくださったのは北村さんと神野(三鈴)さんなんですね。本当にお忙しい中、ほとんど徹夜で台本と向き合って、より良い導きをして下さった。俳優業は、表に映る瞬間にすべてを捧げる職業であると思うんですけど、その前段階からプロジェクト全体をどう良くしていくかという関わり方ですね。それは自分が俳優としてやっていて欠乏している部分でもあるので、そういうものが北村さんの表現につながっているんだなと痛感しました」

  「僕らが想像して準備したアングルを切り取るという目標はあるんですけれども、現場で北村さんが感じたことをいろんなバリエーションで見せてくださる。ポスプロをしているとより思うんですけれども、いろんな成立をどんどんさせていく。生の感覚や表情を加えて、生きた迫力のある、存在しているという素材を提供してくださいました」

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  ――本作でこだわった日本特有の怖さ

  齊藤「先に『TATAMI』という表題を思いつき、(対応する)英語がない、畳=TATAMIであるというイメージを含めて今回のプロジェクトにあった題材かなと思いました。フォークロアには伝承の意味が含まれていて、みんなが知っている日本特有のものだとわら人形とかがありますが、畳も調べてみると表面はイグサだけど中はわらだったんです。人型ではない畳一畳分のフィールド、そこにこもった何かを描きたいと思いました」

  「海外の方に、何層にもなっている意味合いや、時間がかかっている怨念を映像で伝えることがミッションではあったんですけど、海外の映画祭のリアクションを見ているとそこはしっかり伝わっているなと感じました」

  北村「日本のホラーを描くときには、畳が必要だな、和室に行くだけで何とも言えない怖さを感じる。畳は、中が藁で表面を張り替えるじゃないですか。人間も中身はいろんな経験で痛んでいたり歪んでいたり、でも表面はきれいで普通にしていたりする。畳と人間性が、リンクしている部分があるかなとも思います」

  「静かな日本の怖さ、霊が出てきて叫ぶだけが怖いのではなく、じわじわくる日本の良さを、アジア6カ国で撮るときにあえてチョイスしたことがすごくいいセンスだったと思います」

  ――主人公の耳が聞こえない設定にした理由

  齊藤「最初に『TATAMI』という表題を設けたときに、畳に擦る足袋とか靴下とかの音を撮りたくて。音を意識するにはどうしたらいいかというのも考えたうえで、この設定にしました。僕らからすると無音なのかもしれないけど、彼らが感じる音があると思うんですよね。彼らの研ぎ澄まされた音なき音の感覚が、この作品との相性がいいのではないかと思いました」

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  ――音へのこだわり

  齊藤「いつも一緒にやっている桐山(裕行)さんに音響効果をお願いしたんですけど、彼が畳の中にマイクを仕込んだり、いろいろテクニカルなことをやってくれました。さらに、撮影後に富士の樹海の中に音を撮りに行ってくださったんです。樹海でしか鳴らない音っていうのがあるらしいんです。それは、分析できない不穏な空気の音。富士の樹海の音をいろんなとこにちりばめているんですよ。主人公の内なる精神状態に響いている空間音というのが富士の樹海。そういうこだわりもあります」

  ――作品に込めたメッセージ

  齊藤「母を描いています。生まれ出ることと死にゆくことの扉はどこにあるのかということを、畳による変わった描写をしている。畳って10年に1回ひっくり返すんですよね。新しい畳に見えても、10年間の歴史がその裏には詰まっている。畳の上で寝られない作品にしたいというのが、ホラー映画としてひとつのミッションかなと思ってつくりました。和室がある人にぜひ見てもらいたいですね」

  北村「この作品は、世界発信ということでつくっている部分もあることが面白いですよね。僕らもこういう仕事をしているなかで、いろんな顔、いろんな見せ方がある。そのひとつとして、日本らしさがある。畳の話のように、表面だけでなく、もっと奥深いものとして、じーっと見ていただけたら心に残るんじゃないかな」

  「フォークロア」(全6話)は、スターチャンネルで11月10日午後2時45分から独占日本初放送。「フォークロア TATAMI」は東京国際映画祭でも、国際交流基金アジアセンターpresents 「CROSSCUT ASIA #06 ファンタスティック!東南アジア」部門でインドネシアのジョコ・アンワル監督の「母の愛」とともに10月30日と11月2日に上映。チケットは10月12日午後12時から映画祭公式サイトで発売される。

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