【SW先行インタビュー第1弾】J・J・エイブラムス、SW新作は「ショッキングで泣く人も…」

2019年10月1日 12:00

取材に応じたJ・J・エイブラムス監督
取材に応じたJ・J・エイブラムス監督

[映画.com ニュース] 世界的人気SFシリーズの最新作「スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け」のロングリード(先行)取材が、米ロサンゼルスで行われた。監督・脚本・製作の3役を務め、本編を絶賛編集中だというJ・J・エイブラムスが、スカイウォーカー家の物語に終止符を打つ今作に込めた思いを語った。(取材・文/編集部)

■多忙を極めるなか新作の監督に就任 「魅力的すぎてノーと言えなかった」

――このサーガがどう終わるのか、監督就任前からわかっていたのでしょうか?

最初から大まかな構想はあったんだ。「フォースの覚醒」で脚本家のローレンス・カスダンと仕事をしている時に、どこに向けて話を持っていくかはなんとなく決めていたからね。「フォースの覚醒」の公開日が迫っていてそちらに集中していたときに、(「最後のジェダイ」の監督である)ライアン(・ジョンソン)とミーティングをしたんだ。彼は「フォースの覚醒」を踏まえて、自分の脚本を書いた。だけど、どんな監督も自分がもっとも心ひかれるものを強調したストーリーを書くものだ。ライアンは、僕らが絶対になしだと思っていたことはやらなかったよ。「スカイウォーカーの夜明け」の監督をオファーされたとき、この3部作を自分で完結させるというのがあまりに魅力的すぎて、ノーとは言えなかったね。

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――ライアン・ジョンソンが、自分の作品は無視して作ってくれて良いと言ったという話は本当ですか?

彼の脚本には驚くこともあったが、自分にとって大事なことを書いていて素敵だと思った。それに、僕の構想を邪魔するものでもなかった。今作を監督することになったとき、サーガを自分の手で完結できることに興奮を覚えこそしたけれど、軌道から外れてしまったものを修正しなければという思いはなかったよ。

ライアンの仕事に敬意を払うし、使わせてもらう。僕は彼みたいな映画を作らないし、彼は僕みたいな映画を作らない。でも、彼のやりたかったことはわかるし、それは「スカイウォーカーの夜明け」に大きく貢献している。今作で僕が1番気に入っていることのひとつは、キャラクターたちが一緒にアドベンチャーを体験すること。「最後のジェダイ」のラストで出会ったレイとポーが一緒にいるのがどんな様子かを、まだ誰も見ていないよね。これってすごく楽しいよ。ほかのキャラクターたちも同様。だから、前作で描かれたことに、僕はただ感謝しているんだ。

■「キャリーなしでスカイウォーカー家の物語を終わらせることは、ありえない」

――2016年に亡くなったレイア役のキャリー・フィッシャーさんを「スカイウォーカーの夜明け」に登場させることに成功し、どんな気持ちでしょうか?

とても不思議な気分だよ。今だって、毎日編集室で彼女を見ているんだ。彼女はとても生き生きしている。もうここにいないと信じられないくらい。彼女なしでスカイウォーカー家の物語を終わらせることは、考えられなかった。それはありえない。別の女優にやってもらえばいいと言ってきた人がいたけれど、そんな提案をすること自体信じられなかった。とても上の方にいる人たちからの、真剣な提案だったよ。だけどそれを検討するつもりすらなかった。CGも絶対になしだ。

それで僕らは「フォースの覚醒」の映像を見直し、使っていない映像がたくさんあることに気が付いた。まさに運命的だよ。「フォースの覚醒」を作っていたとき、僕はその映像を使えないことをとても残念に感じていた。それでも、あの映画には不要だったんだ。そのときはまだ、「スカイウォーカーの夜明け」を自分が監督することになるとは思っていなかった。あんな天才女優を失うことになるとも。

とにかく、その映像を使う形で彼女のシーンを書くことに決めた。ほかのキャラクターとやりとりするシーンも、すごくリアルに見えるよ。観客もそう感じてくれることを願う。キャリーが生きていたら語りたかったレイアの物語を、その通りに語れたんだ。信じられないことにね。

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――フィッシャーさんのシーンでもっとも困難だった作業は何でしょうか?

「スカイウォーカーの夜明け」は本当に大規模な映画で、どのシーンにも60人くらいが映っているんだよ。そのうち20人くらいはマスクをつけていて、4人くらいはドロイドで、さらにパペットもいる。すごくクレイジーな撮影なんだ(笑)。つまり、もともと考えなければいけないテクニカルなことや、難しいことがたくさんある。キャリーのこともそのひとつとして捉えていたよ。

ただキャリーの場合は、正しくしなければという気持ちがことさら強かったのは確かだ。彼女にも、彼女のご家族にも敬意を払う形でなければいけない。その点はクルーにもしっかりと話したよ。僕らはこのサーガを受け継いだのであり、このキャラクターはみんなにとってすごく大事なのだと強調した。困難はあったけれども、僕らはみんなこのストーリーと彼女がどんな人だったのかを本当に大切に思い、その姿勢を貫いたんだ。

■ファンからの批判受け「みんなに気に入ってもらうのは不可能」

――製作にあたり、どれほど自由が与えられていたのですか?

信じられないくらい自由だったよ。スタジオは特に何も要求してこなかった。ただ、僕らは最初から今作でスカイウォーカー家のサーガが終わると思っていたけれど、スタジオはそう認識してはいなかったみたいなんだよね。それでもすぐに納得してくれた。とても感謝しているよ。

――「スター・ウォーズ」ファンほど「スター・ウォーズ」を嫌う人たちはいないと言われています。「フォースの覚醒」と「最後のジェダイ」に対して寄せられた批判を、どう受け止めていますか?

そこは、僕にも理解できるよ。だけど、こういう作品に取り掛かるときは、みんなに気に入ってもらうのは不可能だと理解して始めなければいけない。何をやっても、誰かからは嫌われるんだ。(これまでの作品と)あまり変えなくても、変えすぎても同じくらいの人から嫌われる。僕はいつも、この3部作をひとつのストーリーの続きと受け止めてきた。僕には、まったく新しいことを持ち込む気も、同じことを繰り返す気もまるでなかった。だから、フィン、レイ、カイロ・レンのような新しいキャラクターを連れてきたんだ。彼らは過去作と同じ世界に生きていて、これまでのストーリーとつながっている。

僕自身も自分を「スター・ウォーズ」ファンと呼ぶ。僕も当然、ほかのファンと同じように「スター・ウォーズ」映画について強い個人的な意見を持っている。でもだからと言って、好きなところが全然ないという作品はないよ。好きな順の1番下に来る作品にだって、どこかに愛するところがあるんだ。

それに、「スター・ウォーズ」に限らず、今の世の中にはやたらと攻撃非難する風潮がある。言っている本人にとってもそこまで重要ではないことに対してすら、人はネガティブさを強調しがちだ。それはわかっているし、ネガティブな意見にさらされることがこの作品に関わる代償なのだと言うならば、受け止めるよ。でも、僕らはただ人々に娯楽を与えたいだけなんだ。自分たちにできる最高の形で、物語を語りたいだけ。それも、最高の意図をもってね。それでも、全員に気に入ってもらうのは無理だし、それが可能だとも思っていない。実際、今作で僕らが下した決断のなかには、ショッキングなものもあるはずだ。怒る人もいるだろうし、悲しくて、あるいは怒りのあまりに泣く人もいるだろう。逆に、笑う人もいるかもしれない。それは、予測できないことなんだ。

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■「スター・ウォーズ」シリーズ生みの親、ジョージ・ルーカスへの思い

――今作の製作はどのようにスタートしたのでしょうか?

今作ではいろんなことが同時に起こるから、ストーリーが僕らをどこに連れて行ってくれるのか見てみようという感じだったね。このギャラクシーで起こるもっとも恐ろしいことは何なのかを見たかった。この戦争は、戦争を終えるための戦争。究極のバトルなんだ。それは、キャラクターの内面においても言えることだね。それに、「フォースの覚醒」では、キャラクターたちは出会っただけだった。「最後のジェダイ」でも、ほとんどバラバラに過ごしている。彼らが一緒にいるのを見られるのは、今作が初めて。自分の好きな人たちが一緒に苦難を乗り越えることは、僕にとって「スター・ウォーズ」に感じるフィーリングの定義でもある。

ジョージ・ルーカスはこのシリーズですごいことをたくさん成し遂げたけれども、そのひとつは、キャラクターたちを一緒にいさせて、ちょっとだけ引き離し、また一緒にしたことだ。戻ってくるたびに、彼らの絆は深まるんだよ。とても賢い演出だね。彼らはそうやって強敵に立ち向かってきたんだ。新しいキャラクターも、強敵に立ち向かえるのか? だとしたら、どうやって? 僕はそのフィーリングを表現したかったんだよ。

――スカイウォーカー家の物語を終わらせるにあたって、シリーズの生みの親であるルーカスの存在はどんなものでしたか?

非常に重要だった。脚本を書き始める前に、彼とミーティングをしたんだ。そこで彼の思うこと、考えること、彼にとってフォースとは何を意味するのかなどを聞いたよ。彼が話すのを、僕らがただじっくり聞いている感じでね。ジョージと話をするっていうのは、いつもものすごく心がときめくこと。彼を本当に尊敬しているからね。今、僕らはこの作品を預からせていただいているけれど、生みの親はジョージだ。ただ、彼を心の底から崇めながらも、僕ら自身が正しいと思うことをやる必要もある。これは、かなり特殊な状況だよ。何かに忠実でありながら、自分たちならではのことを大胆にやらないといけないんだから。

僕らはこのストーリーに、できるだけ人間的視点からアプローチした。つまり、このシリーズはいったい何を語ろうとしているのだろうかという方向からね。エピソード1から8にかけて、ストーリーは一点に向かって進んできている。この完結編には、そこまでのことがすべて盛り込まれているよ。とは言っても、それまでの映画を全部見ておく必要はない。そうしなくてもこの映画には共感できる。少なくとも、僕はそう望んでいるよ。

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――今回またパルパティーンが出てきますが、あなたにとって、スカイウォーカー家の話を終わらせるためには、パルパティーンが必要だったのでしょうか?

彼の登場は不可避だったね。「フォースの覚醒」を手がけ始めたとき、エピソード1から6の続きであることを強く意識していた。新しいキャラクターが出てきて新しい物語が展開するけれど、みんな同じ世界に住んでいるから。パルパティーンは、自らの失敗から学んでいる分、今回はもっと恐ろしいんだ。

――予告編に、カイロ・レンがマスクをつなぎ合わせているシーンがありますが、あれは日本の文化である金継ぎを意識したものですか?

もちろん意識しているよ。あのマスクには歴史があるということを見せたかったんだ。割れ目は、むしろ祝福されるべきものなんだよ。それも美しさの一部だ。カイロ・レンが経験してきたこと、彼がやっつけられたこと、そういった過去がそこには表れている。この映画には日本の要素がほかにも少しあるよ。

あのマスクを修繕することは、早い段階で決まっていた。カイロ・レンが打ち砕かれた姿を見せたかったから。あのマスクは、それを美しい形で象徴すると思う。トライしたことや、過去を受け入れるというコンセプトが大好きだ。お年寄りの顔と同じだよ。顔のシワは、その人の歴史を物語っているからね。

スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け」は、12月20日から全国で公開。

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