ベルリン国際映画祭開幕!ジュリエット・ビノシュ審査委員長らが会見
2019年2月9日 12:30
[映画.com ニュース] 69回目を迎えたベルリン国際映画祭が、2月7日(現地時間)に開幕した。今年は名物ディレクターとして18年間にわたりベルリンの顔だったディータ・コスリックの最後の年に当たるため、開幕前から注目を集めていた。
ベルリンを一般観客に開かれた世界で最も大きな映画祭に育て、ポリティカルなフェスティバルというカラーをもたらした立役者。映画人からも好かれるエキセントリックな魅力のある人物だ。その一方で規模を大きくしたあまり、カンヌやベネチアに比べるとクオリティが落ちてきたという批判も最近は上がっていた。
結果的に今年は、名の通った映画人の作品が少ない。オープニングフィルムはタハール・ラヒムとゾエ・カザンが共演するロネ・シェルフィグ監督(「幸せになるためのイタリア語講座」)の新作「The Kindness of Strangers」。シェルフィグを含む17本のコンペティションは、ファティ・アキン、フランソワ・オゾン、チャン・イーモウ、 アグニエシュカ・ホランド、イザベル・コイシェのほかは、未知数の監督たち。ただしその分、若手の才能に出会える可能性はある。
日本映画はコンペにはなく、キュリナリー(料理)部門に近浦啓の「COMPLICITY コンプリシティ」、また他の部門でそれぞれ、三宅唱の「きみの鳥はうたえる」、短編がサンダンスでグランプリをとった長久允の初長編「ウィーアーリトルゾンビーズ」、サンダンス映画祭とNHKによるNHK/Sundance Institute脚本ワークショップの代表に選ばれたプロジェクトで、ロス在住のHIKARI監督による「37 SECONDS」の計4本が参加する。
審査員メンバーは、ジュリエット・ビノシュを審査委員長にセバスティアン・レリオ監督(「ナチュラルウーマン」)や女優のサンドラ・フラー(「ありがとう、トニ・エルドマン」)など男女半々の6人。審査員会見では、「パーソナル・イズ・ポリティカル」という今年の映画祭のテーマや、女性監督の活躍が話題にあがった。
セレクションに女性監督作が増えていること(コンペは17本中7本が女性監督作)について、ビノシュは「ディータからは、女性監督だから選んだわけではなく、いい映画だから選んだと聞いています。それだけでも、10年前と比べたらずいぶん進歩したことを物語っていると思います」と語った。また「イングリッシュ・ペイシェント」や「ショコラ」でプロデューサーのハーベイ・ワインスタインと仕事をしたことがあるため、セクハラ事件に対する感想が求められると「わたしは彼と問題が起きたことはなかったし、プロデューサーとしては優れた人材でした。でも今はただ、必要とされる法的な処置の行方を見守るべきだと思います」と語った。
昨年金熊賞に輝いた「Touch Me Not」は賛否両論で大きな反響を巻き起こしたが、果たして今年はどんな作品に軍配があがるのか。結果は16日の授賞式で発表される。(佐藤久理子)