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◆2019/1/30更新
津田大介氏、情報化が加速させる"現代の独裁者"の危険性を指摘
津田大介氏
  第二次世界大戦末期に起きた衝撃の実話を描いた映画「ちいさな独裁者」のイベントが1月29日に都内で行われ、ジャーナリストの津田大介氏、朝日新聞記者の藤えりか氏が登壇した。

  「RED レッド」「ダイバージェントNEO」などのロベルト・シュベンケ監督が、母国ドイツで撮影を行ったサスペンス。1945年4月、終戦まであと1カ月に迫り敗色濃厚なドイツでは、兵士の軍規違反が相次いでいた。命からがら部隊を脱走したヘロルトは、打ち捨てられた車両の中で軍服を発見。その軍服を着て大尉に成りすましたヘロルトは、道中出会った兵士たちを次々と服従させ、やがて大量殺りくへと駆り立てられていく。

  本作の印象を問われ、津田氏は「ドキュメンタリーのような部分もあり、会話劇が多くて演劇的でもある。最初から最後まで緊張感がありますね」といい、「会社とか、自分が置かれている組織の中でどのように振る舞っているのか、どういう交友関係を築いているのか、考えさせる映画。1945年のドイツの話だけど、現代日本にも当てはめて考えることができる」と、遠く離れた時代の物語ではないことを強調した。

  シュベンケ監督にインタビューを行ったという藤氏は、「『ナチスを描いた映画は多いのに、意外と加害者視点に立って、反省に基づいた作品がない』とおっしゃっていた」と紹介し、「今までの戦争映画って、どこかで『自分はそんなに悪い人間じゃない』と願望を投影できるキャラクターがいたけど、この作品で探すのは難しいですね」と指摘。津田氏もその意見に賛同し、さらに「劇中ではヒトラーという名前はたくさん出てくるけど、本人は登場しない。ヒトラーの影だけが通奏低音のように流れている。登場人物たちは、その大きくなっていく幻影に振り回されていく」と解説を加えた。

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  続いて、現代社会でも散見される独裁的な政治体制が話題に。津田氏の「主人公が若いから、最初は軍服姿がフィクショナルに見えるんだけど、どんどん違和感がなくなっていく」という言葉を受け、藤氏は「アメリカのトランプ大統領も、最初はホワイトハウスやエアフォースワン(大統領専用機)が借り物みたいだったけど、そうは見えないもんね」と、劇中と現代アメリカそれぞれの"独裁者"の姿を重ねる。津田氏は「トランプも最初は期待されていない候補だったけど、どんどんレースを勝ち上がっていって。恐ろしいことに大統領になった後もトランプがトランプであり続けている」と語る。

  津田氏は「独裁者個人でできることは限られていて、その体制を作るのは周囲とメディア」と分析。藤氏も「1930年代のドイツと今の世界はすごく似ている」というシュベンケ監督の言葉に触れ、「当時は政府がプロパガンダを行っていたけど、今は政府が手を出さなくても、フェイクニュースサイトがその役割を果たしてしまいますからね」と、情報化が進んだ現代では、より独裁が浸透しやすいのではと警鐘を鳴らした。

  「ちいさな独裁者」は、2月8日から東京のヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国で公開。

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