あなたは見た?2018年日本を震え上がらせたホラー映画10選

2018年12月23日 12:00


「クワイエット・プレイス」より
「クワイエット・プレイス」より

[映画.com ニュース] 近年、ホラー映画には大きなふたつのブームが到来している。「クワイエット・プレイス」に代表される何かが制限されるシチュエーションホラーと、「イット・カムズ・アット・ナイト」などの対象が見えない観念的な恐怖を描くホラーだ。ふたつのブームに共通するのは、ただグロテスクなものを見せるのではなく、恐怖心を楽しむように製作されていること。映画にCGが多様されるようになり、製作者たちは作り物の物質的な恐怖よりも、“あえて見せない”ことで精神的な恐怖をあおる手法を支持するように。そんなホラー映画の過渡期にある2018年を代表する、日本を震え上がらせたホラー映画10作品を紹介する。

▽「RAW 少女のめざめ」(2月2日公開)

厳格なベジタリアンの獣医一家に育った16歳のジュスティーヌは、両親の母校でと姉も通う獣医学校に進学する。見知らぬ土地での不安に満ちた寮生活が始まると、ジュスティーヌは上級生からの新入生の通過儀礼としてうさぎの生肉を食べることを強要される。学校になじみたいという思いから、人生で初めて肉を口にしたジュスティーヌ。その行為により本性があらわになった彼女は、次第に変貌を遂げていく。第69回カンヌ国際映画祭で批評家連盟賞を受賞した、フランス人女性監督ジュリア・デュクルノーの長編デビュー作品。

▽「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」(3月3日公開)

郊外の豪邸で暮らす心臓外科医スティーブンは、美しい妻アナやかわいい子どもたちに囲まれ順風満帆な人生を歩んでいるように見えた。しかし謎の少年マーティンを自宅に招き入れたことをきっかけに、子どもたちが突然歩けなくなったり目から血を流したりと、奇妙な出来事が続発する。やがてスティーブンは、容赦ない選択を迫られ……。スティーブン役をコリン・ファレル、アナ役をニコール・キッドマン、マーティン役を「ダンケルク」のバリー・コーガンがそれぞれ演じた。脚本を手がけたヨルゴス・ランティモス監督とエフティミス・フィリップは、第70回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞した。

▽「アナイアレイション 全滅領域」(Netflixで3月12日配信開始)

舞台は、不可解な現象が起こる謎の領域「エリアX」が海岸地帯に拡大したアメリカ。現地に調査隊が派遣され、元兵士の生物学者レナの夫ケインも加わるが、調査隊は行方不明になってしまう。やがてケインだけが生還したものの、瀕死の重傷を負っており昏睡状態に。レナはケインの身に何が起きたのか突き止めるべく自ら調査隊に志願し、エリアX内部の未知の領域に足を踏み入れる。そこでレナが目撃したのは、生態系の突然変異によって生まれた異様な景色と生き物たちだった。「エクス・マキナ」のアレックス・ガーランドが監督、脚本を手がけ、オスカー女優ナタリー・ポートマンがレナ役で主演を務めた。

▽「死霊館のシスター」(9月21日公開)

実際にあった心霊現象をベースに描く大ヒットホラー「死霊館」シリーズの始まりを描く物語。1952年、ルーマニアの修道院でひとりのシスターが自ら命を絶つ。事件には不可解な点が多く、真相を究明するため派遣されたバーク神父と見習いシスターのアイリーンは、修道院に隠された想像を絶する秘密にたどり着く。そしてふたりは、決して関わってはならない恐るべき存在「悪魔のシスター」と対峙することになる。脚本を「アナベル 死霊館の人形」「IT イット “それ”が見えたら、終わり。」などのゲイリー・ドーベルマンが手がけ、アイリーン役を「死霊館」シリーズで主演を務めたベラ・ファーミガの妹タイッサ・ファーミガが演じた。

▽「クワイエット・プレイス」(9月28日公開)

音に反応して人間を襲う“何か”によって人類が滅亡の危機に瀕した世界で、「決して音を立ててはいけない」というルールを守り、会話で手話氏、静寂とともに生きるアボット一家。妊娠中の母エブリンの出産に向け、夫のリー、聴覚障害を持つ娘のリーガン、弟のマーカスは防音室を作る。しかし、そんな一家を悲劇が襲い、全員が想像を絶する恐怖い立ち向かうことになる。エミリー・ブラントがエブリン役で主演し、ブラントの夫でもある俳優のジョン・クラシンスキーが監督・脚本を手がけた。続編が20年5月15日にアメリカで公開されることが決定している。

▽「遊星からの物体X」(10月19日公開)
 ジョン・カーペンター監督が、ハワード・ホークス製作の古典的名作「遊星よりの物体X」(1952)をリメイク。今年、デジタルリマスター版でリバイバル公開された。極寒の南極観測基地という閉ざされた空間を舞台に、宇宙から飛来した生命体に襲われる観測隊員たちの恐怖を描いた。舞台は南極の大雪原。一匹の犬がアメリカの観測隊基地に現れるが、犬の正体は10万年前に宇宙から飛来し、氷の下で眠っていた生命体だった。生命体は接触した生物に同化する能力をもっており、次々と観測隊員に姿を変えていく。

▽「search サーチ」(10月23日公開)
 16歳の女子高生マーゴットが突然姿を消し、行方不明事件として捜査が開始されるが、家出なのか誘拐なのかが判明しないまま37時間が経過する。娘の無事を信じたい父親のデビッドは、マーゴットのPCにログインして、Instagram、Facebook、Twitterといった娘が登録しているSNSにアクセスを試みる。だがそこには、いつも明るくて活発だったはずの娘とは別人の、デビッドの知らないマーゴットの姿が映し出されていた。物語がすべてパソコンの画面上を捉えた映像で物語が展開する手法が話題を呼んだ。

▽「イット・カムズ・アット・ナイト」(11月23日公開)

ポール一家は夜になるとやってくる正体不明の“それ”から逃れるため、森のなかの一軒家に隠れ住んでいた。そんな一家を、ウィルと名乗る男とその家族が助けを求めて訪れる。ポールは夜は入り口の赤いドアを常にロックするというルールに従うことを条件に、ウィル一家を受け入れる。共同生活はうまく回っているように思えたが、ある夜に赤いドアが開け放たれていることが発覚。それを機に、ふたつの家族に芽生えた猜疑心と“それ”への恐怖から、それぞれの本性が次第に露わとなっていく。俳優ジョエル・エドガートンが主演のほか、製作総指揮も務めた。

▽「ヘレディタリー 継承」(11月30日公開)

母エレン・グラハムを亡くしたアニーは、エレンに対して愛憎交じりの感情を持ちながら、夫、ふたりの子どもたちとともに淡々と葬儀を執り行った。喪失感を乗り越えようとするグラハム家だったが、その後家族に奇妙な出来事が頻発する。最悪の事態に陥った一家は修復不能なまでに崩壊していき、エレンの秘密が明らかになっていく。アニー役をトニ・コレットが演じるほか、夫役をガブリエル・バーン、息子役をアレックス・ウルフ、娘役をミリー・シャピロが演じる。本作で長編監督デビューを果たしたアリ・アスターが脚本を兼ねた。

▽「来る」(12月7日公開)

オカルトライターの野崎が、身の回りで起こる超常現象に悩んでいるという相談を持ちかけてきた田原秀樹の依頼を受けて調査を開始し、田原家にとり憑いている“何か”の正体に迫る姿を描く。野崎役を岡田准一、田原役を妻夫木聡が演じた。「告白」「渇き。」の中島哲也監督が、岡田准一を主演に迎え、「第22回日本ホラー大賞」で大賞に輝いた澤村伊智の小説「ぼぎわんが、来る」を映画化した。

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