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◆2018/10/31更新
伊ナポリ舞台の「堕ちた希望」監督が"土地"から見出したストーリー
エドアルド・デ・アンジェリス監督と 主演のピーナ・トゥルコ
  イタリア・ナポリ北西に位置するカステル・ボルトゥルノを舞台に、組織に仕えて女性たちを監視してきたマリアが、どん底生活からの脱出を試みる姿を描く。圧倒的に荒廃した風景を卓抜した映像感性で紡ぎだした監督エドアルド・デ・アンジェリスの力量が光る。アンジェリスは、日本では「切り離せないふたり」(2016)がイタリア映画祭2017で紹介された。主演のピーナ・トゥルコはテレビ界で活動。本作が2本目の映画出演となる。

  ――最初に、この作品が生まれた経緯からお話しください。

  エドアルド・デ・アンジェリス(以下、デ・アンジェリス):舞台になっている場所、カステル・ボルトゥルノのリサーチから始めました。周辺に住んでいる人々の話を聞いて、全てマリアという人物に反映させました。マリアは、あの地域を貫く川を人格化したものなのです。川は水を流し、廃棄物なども運ぶわけですね。ただ、その中にも大事なものがある。廃棄物の中からある種の贈り物も見つけ出すことができると考えました。

  ――この地域の映画を撮ろうというところから、製作はスタートしたのですね。

  デ・アンジェリス:私は物語を発想して、ロケーションを決めるという考え方は好きではありません。土地は物語を生む場所です。土地の声に耳を傾けて、その土地のストーリー描いていきたいと思っています。

  ――この場所に監督が興味を感じる、いちばんの理由は何ですか。

  デ・アンジェリス:ここはかつて非常に美しい土地でした。今では荒廃していますが、昔の美しさをすべて失ったわけではありません。1平米の土地の中に美しさと、醜さが混在しています。破壊と再生が同居している土地。そこに興味を覚えました。

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  ――脚本家と2人でストーリーを組み立てていったのですか?

  デ・アンジェリス:共同脚本家のウンベルト・コンタレッロは、映画学校の私の恩師で北イタリア出身です。遠くからこの地を眺めてきた"視線"が欲しいと思いました。ウンベルトはかつてネオリアリズムに則したメソッドで脚本の書き方を教えてくれました。脚本を書く上でさまざまな人にインタビューし、蒸留したものが映画になりました。だから伝統的なネオリアリズムに基づいて、審美的な処理をした作品といえます。魔術的な部分も真実に沿うものと思いますし、なによりも作品に描かれている"人間の誕生"自体が魔法のひとつでしょう。

  ――恩師との共同作業はいかがでしたか。

  デ・アンジェリス:世代間の関係性は重要なものです。特に、前の世代から教わることはたくさんあります。彼らの意見や証言を踏まえた上で、新しい道につなげていくことができると考えています。

  ――それにしても、背景となる場所が荒廃の極みでシュールですらあります。この場所に関しては手を加えることはなかったのですか。

  デ・アンジェリス:リアルなものをベースに作った感じですね。色を加え、散らばったものを集合させて小宇宙(ミクロコスモス)を作った感じですね。

  ――ヒロインにピーナ・トゥルコを起用した理由を教えてください。

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  デ・アンジェリス:このキャラクター自体が、ピーナを基にして生まれてきたものです。彼女のなかに秘められていた野生的なものを引き出す必要はありました。

  ピーナ・トゥルコ:ヒロインは肉体を使う仕事で、頭で考えることは後からついてくる。私は、ある意味で筋肉を使うイメージがすごく好きでした。単純に頭を使った演技よりも、もっと深みを求め得る手法だと思いました。エドアルドは人為的なものを好まない、頭で考えることを好みません。あくまで彼女の立場に立って、生まれてくる感動、感情を表すことに集中しました。

  ――これまでの作品も同じ地域を背景にしています。理由は特別にあるのですか。

  デ・アンジェリス:あの土地には磁力的、磁石的というか、惹きつけられるものがありますね。善と悪が同居していて、時には善が勝ち、時には悪が勝つ。すべてが共生している場所だということが言えます。これを含めて3本映画にしました。あの地域のことを常に考えています。

  ピーナが私の人生に入ってきて、それを物語にしたいと考えたことも理由のひとつです。どの映画にも人生の一部が入っていますし、その時に考えていたこととか、自分の人生の時々を反映したものになっています。

  ――土地と自分の人生の出来事が、作品に結びついたわけですね。

  デ・アンジェリス:もうひとつ、私には自分なりの言葉、伝え方を見つけたい、表現方法を見つけたいという思いがあります。アイデンティティを持った表現の仕方であって、誰もやってこなかったような表現言語を見つけたいという願望ですね。ある部分は伝統、自分のやり方に基づいていますが、観察から物語が生まれるのです。

  (取材/構成 稲田隆紀 日本映画ペンクラブ)

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