「クリミナル・マインド」マシュー・グレイ・ギュブラー、「降板した友人たちが恋しい」

2018年8月10日 18:00


大の親日家としても知られる マシュー・グレイ・ギュブラー
大の親日家としても知られる マシュー・グレイ・ギュブラー

[映画.com ニュース] FBIの犯罪心理プロファイラーチームBAUの活躍を描くロングランヒットシリーズ「クリミナル・マインド FBI vs. 異常犯罪」(別名『クリミナル・マインド FBI行動分析課』)のシーズン1が、Dlifeで8月20日から放送されることを記念し、BAUメンバーのスペンサー・リード役を演じる米俳優マシュー・グレイ・ギュブラーが来日。同ドラマの放送開始時から13年以上演じてきたリード役への愛着と、表現者としての今後を語った。(取材・文/編集部)

「クリミナル・マインド FBI vs. 異常犯罪」は、10月から本国アメリカでシーズン14が放送される人気長寿ドラマ。なかでもひと際高い人気を誇るのが、ギュブラー演じるリードだ。IQ187の天才的頭脳を武器に難事件を解き明かしていく凄腕捜査官だが、若くしてBAUに仲間入りしたため、ほかのメンバーから弟的な存在としてかわいがられる一面も。空気が読めない天然キャラと、時折見せる繊細さがファンの心をわし掴みにしている。

インタビュー開始前、ギュブラーは記者らに「誰か最近シェマーに会った!?」と、同ドラマにシーズン11まで出演し、6月に来日していた盟友シェマー・ムーアについてハイテンションで逆質問。肉体派のシェマーについて、「彼のトレーニング知識は全部僕が教えたことなんだよ! 僕は彼のパーソナルトレーナーだからね(笑)」と冗談を飛ばす。ナイーブな印象のリードとは違い、実際のギュブラーは驚くほど気さくで、底抜けに明るい。

そんなギュブラーの人柄が垣間見えるのが、空港でのファンサービスだ。今回は金色の着物姿で空港に降り立ち話題をさらったが、それもすべてファンのため。「ファンの方々は素晴らしくて、僕が空港に着くのを待っていてくれる。だから、何か『待っていて良かった』と思ってもらえることをしたかったんだ。着物はすごく暑くて大量の汗をかいたけれど、楽しい登場シーンになったよ(笑)」

BAUが凶悪犯罪を専門に扱うチームであるという設定上、ドラマでは連続猟奇殺人や性犯罪、児童誘拐などシリアスな題材を扱う。フィクションとはいえ、13年以上残忍なシーンに触れ続けるのは容易ではないはず。プライベートとのバランスの取り方を聞くと、意外な答えが満面の笑みとともに返ってきた。

「実は僕はすごくシリアスな人間なんだ。だからすごく自然に……なんちゃって(笑)! この番組のおかげで、プライベートでの自分は面白い人間になったと思う。人間の脳って不思議で、ダークなものに対抗するためにユーモアを生み出すんだ。だからこの作品に携われて感謝しているよ。いい意味で、僕の周りのすべてのことをより面白く感じさせてくれているからね」

さらに、リードというキャラクターについて「演じているというよりは、リードという人間が存在しているという感覚」と話す。「リードみたいな人と“友だち”になれて、すごく光栄だし恵まれているよ。リードを通して、人を思いやることや勇気を出すことといった人生の教訓を得たんだ」

本シリーズでは、複数のエピソードで監督業にも挑戦。自身が監督したエピソードには、必ず「何か自分で作ったものを入れている」といい、「シーズン7の第19話では、僕の絵が“狂った男が描いた女性の絵”として3枚使用されている。僕の絵だと悟られないように、左手で描いたんだ」「シーズン10では被害者が描いた設定で『ミスター・スクラッチ』というすごく怖い絵を描いたよ」と目を輝かせる。このアイデアの原点は、リードのメンター的存在であるジェイソン・ギデオン役を演じたマンディ・パティンキンの粋な計らいにあると明かす。

「シーズン2の第11話に、もう亡くなってしまった友人のアントン・イェルチンがゲスト出演したときのことだよ。リードが彼をスケッチするシーンがあって、制作陣からは本物のアーティストが描いたすごくフェイクっぽい写実的な絵を使えと言われたんだ。僕は『嫌だなあ……自分で描いた絵を使いたい』って思ったけれど、まだ若くて怯えていたから言えなくて。そしたら、親友のマンディが近寄ってきて、『君が描いたのを使っちゃえ』って言ったんだ。『まさか! そんなことはさせてもらえません』って答えたら、彼は『そうか。ではこの絵が“不思議と”なくなってしまわないことを願っているよ』と言ったんだ。それで、僕もやっぱり自分の絵を使って欲しかったから、用意された絵を破っちゃったんだよ(笑)! それで結局、僕が描いた絵が使われたんだ」

ギュブラーは、共演者とのエピソードを愛情たっぷりに、この上なく楽しそうに話すが、パティンキンがシーズン3、ムーアがシーズン11、シリーズの中核だったアーロン・ホッチナー役のトーマス・ギブソンがシーズン12で降板。オリジナルメンバーが相次いでドラマを去ってしまったことに寂しさをにじませながらも、明るく今後の展開をアピールする。

「僕もファンの方々と同じで、降板した友人たちが恋しいよ。(ムーア主演のドラマ)『S.W.A.T』はクールだけどね(笑)。でもBAUにも2人の新しいキャラクターが仲間入りするよ! 韓国の超クールな俳優のダニエル・ヘニーと、こちらも超クールなアメリカ人俳優のアダム・ロドリゲス。もう誰も番組を去らないことを祈ってるよ」

20~30代を本シリーズに捧げたギュブラーは、現在38歳。40代では、より多面的にアーティスト活動を行いたいと語る。

「絵を描いたり、監督業をもっと増やしたり、違う役を演じたりね。すべてを通して、もっとオプティミズム(楽観主義)を広げていきたいな」

終始笑顔を絶やさず、全力で人生を楽しむポジティブなエネルギーを放っていたギュブラー。多岐にわたるであろう今後の活躍に注目したい。

「クリミナル・マインド FBI vs. 異常犯罪」は、Dlifeで8月20日からシーズン1が放送開始(現在シーズン9が放送中)。詳細は公式サイト(https://dlife.disney.co.jp/program/drama/criminalminds_s1.html)で確認できる。さらに、9月4日からWOWOWでシーズン13が放送開始される。

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