とんだ迷惑…トランプ大統領の“フェイク予告編”は実在の制作会社と無関係

2018年6月13日 21:00


制作会社にとっては、とんだ迷惑
制作会社にとっては、とんだ迷惑

[映画.com ニュース] 米朝首脳会談でトランプ米大統領が披露したフェイク映画の予告編によって、実在の制作会社が被害を被っているという。

シンガポールで行われた米朝首脳会談への参加に際し、トランプ大統領は金正恩朝鮮労働党委員長のためにプロモーション映像を用意。ハリウッド映画の予告編風で、核戦争を連想させる映像を見せながら、今回の会談が地球の運命を定めると煽る内容になっている。4分ほどの動画は記者会見場でも流され、現場にいた報道陣は北朝鮮が制作したプロパガンダ映画と勘違いしたと、米ワシントン・ポスト紙は報じている。

その後、会見に登場したトランプ大統領は「気に入ってもらえたかな?」と、自らの指示で作らせたものであることを告白。そして、「彼(金正恩)も気に入ってくれたみたいだ」と胸を張っていた。

この映像が公開されてから、ロサンゼルスにある制作会社デスティニー・ピクチャーズのマーク・カスタルド代表のもとには抗議の電話が殺到しているという。その理由は、本編のなかに「デスティニー・ピクチャーズ制作」と大きく表示されるからだ。カスタルド氏によれば同社は無関係で、「そもそも自分が関わりたいと思うような代物ではありません」と明言。カスタルド氏は無党派であるうえに、同社はメッセージ性のあるインディペンデント映画を手がけているからだ。なお、運命を意味する「デスティニー」という言葉が採用されたのは、トランプ氏がこの動画で伝えたいメッセージと合致していたからでは、とカスタルド氏は分析している。

ホワイトハウスによってどの会社が制作を委託されたのかは不明だが、ストック映像を多用しているため制作費はほとんどかかっていない。トランプ氏はかつて自身のホテルに出資させるため、投資家との打ち合わせには同様のプロモーションビデオを用意していたと、米ワシントン・ポスト紙は指摘している。

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